七色学園
優しさ(h)
それから春休みが終わって、なにごともなかったように新学期が始まった。
「H組…」
新しい俺のクラスはH組らしい。
でもクラスなんてどうせ友達も出来ないし関係ないか、
「はいどー!」
「っ!けんちゃ…おはよ」
「おはよ、クラスどこやった?」
「えいち、」
「えっちかぁ〜」
発音、それやと俺変態みたい。でも下ネタ嫌いやないし(世間にはなぜかウブだと思われてるがそんなことない)
「俺B組だったん」
「B、進学コース?」
「うん…校舎、違うね」
「うん。」
俺は西、けんちゃんは東。
途中に管理棟を挟むからいちばん遠いんじゃないかな。せっかくやのに…
「でも美術室西棟やん?迎えに行ったるわ。」
「えっ!?」
「えって…けんちゃん凹むでー…」
「ちゃうて…その、」
また胸が傷んだ。
あの日以来、期待して、絶望して、胸は傷だらけ。
期待してること自体間違ってるんよね、
自分は友達でいいのに―
心は複雑で嫌になる。
「迷惑やない…?」
「なんで迷惑なん?」
コテン、と首を倒す姿はなんかかわいい。ちょっと微笑んでまう。
「やって…、その…」
「通り道なんやから、えっち組通るも通らんも変わんないやろ?」
「う、うん…」
「な、決まり。」
…嬉しい。純粋に、
友達が、
けんちゃんが。
俺の居場所が、また増えた。
………………………
けど、
俺は見てしまった。
彼が、
けんちゃんが、
可愛い茶髪の仔を抱き締めてるのを。
「…はいど!?」
あかん。泣きそう、
優しさ
打ち砕きたかった期待、でもやっぱり
夢をみていたかったんだ。
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