[携帯モード] [URL送信]

七色学園
出会い(h)


「あのー、すんません。生徒会なんやけどー」




彼は唐突に来た。

その日は雪が降り、とても寒かったので俺は毛布にくるまりながらストーブの横で絵を描いていた。

「えっと…部長サン?」

部員がひとりしかいないこの部室に人が来るなんてめったになかったから、その人の顔を凝視してしまう。

「あ、先生から話いっとらん?」
「はい…」

先生はご老体。部活にもほとんど顔を出さんからなぁ…

「えっと…話にくいんやけど、」

彼は俺の横の椅子に腰かける。
あ、背ぇ高いんやな。
俺は筆を置いて彼の方を向いた。

「あのな、今同好会やら部活やら増えすぎて予算足りひんからその…実績と部員がない部を…えと、」
「廃部、てことですか?」

彼の猫みたいな口が横にのびる、

「まあ…そういうこっちゃな…」

廃部、

たしかに先輩は幽霊部員やし実績…なんてのも聞いたことない。

でもどうしよう。部がなくなったら絵描ける場所がなくなってしまう。

「あ、でもいきなりすぎやよな。…ってうまっ!!」
「え?」

こっちを向いた彼がいきなり立ち上がった。

「え、コンクールとかださへんの!?」
「はぁ…」

コンクール…は出したことない。考えてもみなかった。

「これやったらいい線いくんやない!?」
「そう…なんかなぁ」

自分の絵に目を戻す。
そんなにいい絵なんだろうか。

「うん。ほんま…俺この絵好きやわー…」
「あ、え、と…おおきに…」

絵を褒められるなんて初めてだったから、なんか照れてしまう。逆に恥ずかしい。
彼は俺の顔を数秒見つめると笑顔になった。

「じゃあこれから実績つくればええねん!」
「え?」
「コンクール出したら実績になるし!」
「そやろか」
「北村健の目に間違いはないで!あと、」

彼は北村というらしい。へぇ、

「あと?」
「俺、部員になるわ!」

「は?」
「絵はまぁ…描けんのやけど部員稼ぎにでもどうやろ?」
「えと…俺は北村君がええならかまわへんで…」

北村君はよっしゃっと言うと


なんか此処、落ち着くねん

と、呟いた。


それは、ずっとひとりだった俺がちゃんと存在してることを示してくれているようで、


銀世界をバックに俺の絵を見つめる彼がなんだか輝いてみえて―――…




その日、永遠の恋をした。


出会い


息を止めてみとれていた

溢れるような輝きに、

[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!