集いし者ー全てを繋ぐ光の鍵ー 交差時空 交差時空ファルジータ。 世界の中心に聳える世界樹は、あらゆる信仰の対象である。 蒼穹と名を持つ世界樹の側には、神殿が建つ。 「いや、しかし大変でしたね」 神殿内部には一人の青年の影があった。 「全くだわ。世界樹も無茶な事を」 背後にはおそらく女性の姿。 どちらも白いローブを羽織り深くフードを被っている。 そのせいで顔が判別出来ず、声で男女を判断するしかない。 「まぁ、そう言わずに。何人でしたっけ」 「たしか、七十四人ね。かなりの人数よ」 「七十四人に招待状を贈って、七十四人が泊まる場所を確保して。大変だったねぇ」 「夜想時空と風雅時空、守護時空と精霊時空は動き出したわ」 「後にも続々と……ね」 二人の目の前には、大きな窓があり、頭上にも大きな天窓がある。 サンサンと降り注ぐ陽光。 空の蒼穹と、世界樹の美しい緑。 それが「蒼穹の世界樹」たる由縁だ。 そして、美しい様々な事象があるのが、この交差時空「ファルジータ」。 青年はふっと笑った。 「神々の聖誕祭まであと四日。我々も準備を急ぐとしましょう」 「そうね」 女性もわずかに笑みを溢しながら言った。 「我ら、世界樹の名の下に」 青年と女性は、胸に手をあて言うと、神殿を後にする。 かくして英雄は集められた。 導きし者、導かれし者、我は詠おう。 「英雄の旅」を。 [*前へ] [戻る] |