集いし者ー全てを繋ぐ光の鍵ー 守護時空 「〜守護時空〜」 ある日、彩人学園の生徒会長、陸也が言った。 「みんな!いい知らせだ。ファルジータに行こう!」 「ファルジータ?」 まず反応したのが、最近に生徒会に加入した薫。 彼女は、主なる世界の契約者と言う全時空を守る力を持つ者。 その他の生徒会メンバーも世界の守護者と呼ばれる者だ。 「ファルジータってぇのは、交差時空ってやつ。全時空と繋がってる時空だよ」 薫に対して答えを返したのは、三年の颯人と言う青年。 粗暴に言葉を使うが、決して乱暴な訳ではない。多少、大雑把なだけだ。 「そうそう。普通は全部繋がってる訳じゃないからね。私達が守る扉だって、全てに繋がってる訳じゃないわ。一つか二つは絶対に行けないの。だけど、ファルジータだけは全ての時空と繋がってるのよ」 続いたのは凛。優しげな雰囲気を漂わせる少女だが、友人曰く結構キツい性格らしい。 「ふ〜ん。で、そのファルジータに何をしに行くの?」 納得したらしい薫が、再び陸也の方を向く。既に彼は意気揚々と帰り支度を始めて、全く聞いていない。 「聞いちゃいねーし」 呆れた声で言ったのはサリアナと言う少女。薫の友達で現在、日本に留学中だ。 そんな呆れたサリアナに返す声があった。 「ファルジータには、神々の聖誕祭って言うお祭りがあるんだ。向こうの暦で一年に一度あるんだけど、どうもこっちの時間と向こうの時間がずれてるらしくてね。だから、なかなか参加できないんだよ。今年は珍しく二年連続みたいだ」 答えたその声は、聞く者が聞けば肌が粟立つような美声。 彼は雷人と言うが、美麗な顔に浮かべた笑みはどこか胡散臭い。 「私達がいるこの時空も、主要時空の一つだ。だから時間が重なった時は大体呼ばれるんだ」 背が高く、中性的な女性が言った。 口調も少し男性的な風があるが、体つきは見事に女性だ。 名を天音と言う。 美しい容姿で、何気なく同性からの支持が高い。 「出発は今夜。準備をしておきなさい」 既に会長がいない中で、日にちについて説明を溢したのは杏樹。人を寄せ付けない美貌を持ったミステリアスすぎる女性だ。 主要時空の地球に暮らす彼らは、異界への扉を守る者だ。 世界の守護者や主なる世界の契約者は、基本的に他時空への干渉を許されている。 故の苦労もあるはずだが、あまり彼らは苦労と思わないらしい。 集まったのも既に放課後だったので、彼らは順々に立ち去った。 薫もすれ違いざまに大柄な男性に、頭に手を置かれた。 「そんなに緊張することはないさ。ファルジータは美しい場所だ」 人のよさそうな笑みを浮かべたのは、薫にとって先輩の灰。 大柄ながら怖い雰囲気がないのは、笑みが優しいからだろう。 思わず薫もはつられて笑った。 まさか、緊張していたのがバレていたとは。驚いた。 「外ももう暗い。早めに帰れよ」 つくづく彼は保護者タイプだろうなと感じた薫であった。 「しかし、ファルジータってどっかで聞いたことあるような」 首を傾げるがなかなか思い出せないので、諦めて帰路に着くことにした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |