神子色流れ
桃の国 騎士の時
一方その頃。
近衛騎士団長、茜雅はようやく入った友の連絡を目にしていた。
この頃の主な連絡手段は手紙で、通達には馬や鳥が使われた。
茜雅の元に届いたのは、友がいる国、柳弦国の伝書鳩である。
主に軍部に使われるその鳩は、喉元に小さな鞄を着けている。
その中の小さな手紙を彼は読んでいるのだ。
「まさか…。いや、そんな筈は。」
手紙を読んで、茜雅は驚愕する。
紅い瞳は、疑心の色を持ちながら、納得の色も持ち合わせていた。
「しかし、そうなると……。」
一度、茜雅は手紙を置いて考える。
顎に手を添えて、自分の通じるあらゆる分野に考えを巡らせる。
ぴたりと、ある一瞬で、茜雅の考えが止まる。
次の瞬間には、走り出していた。
部屋の扉を勢いよく開け、見事な速さで城内を駆け抜ける。
大事なその人を守る為に。
「頼む。無事でいてくれ…!桃凜っ……!」
(溢れる感情は、何だろうか?
心の片隅で問いかけている自分がいた。
ようやく分かった気がする。
俺は、答えを見つけた。)
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