08
「あれ、そういえばリタは?」
ロイ達にイシュヴァール撲滅戦のことを聞き、エドワードの腕を直すためリゼンブールに帰ることを決めたエルリック兄弟
リタ以外が揃った部屋
そこにリタだけがいないことに不思議に思ったエドワードがロイに訪ねた
「彼女は………医務室、ではないのかね?」
「医務室…そうだよな。怪我ひどかったみたいだし」
下を向いたエドワードにそうではない。とロイが言う
じゃあなんで?
そう聞こうとする前にヒューズが口を開いた
「お前らリタの眼帯の奥、見たんだろ?……たぶんアイツはそれを気にしてお前らの前に出てこねぇんだよ」
「………え、そんなこと………?」
予想外
そんな感じで固まったエドワードにロイがため息をつく
「鋼の…君はリタが眼帯をつけてる意味を知ってるかね?」
「……は?知らねぇよ」
「大佐、どういう事ですか?」
ロイはチラリとエルリック兄弟を見ると目を瞑り、話し始めた
「彼女が…リタが人体錬成をした時、なんの変異だかわからないが突然翠だった目の色が紅色に変わった」
理論上ではありえない変色
それがリタの身体に現れた
「当然、そんな彼女を周りは気味が悪いと思ったのだろう。軍に保護されてからそんなに日がたたないうちに彼女は突然眼帯をつけはじめた」
「…その眼帯どうしたんだ?」
『別に?見えない目なら必要ないかなってさ。このほうが可愛いでしょ?』
「そう言って彼女は笑っていたのだけれど…」
『ねえ、私……みんなに何かしたの?……悪い事、した…?』
『もう嫌だ!!こんなところッッ……いたくない!!』
「日に日に彼女の身体は痩せ細り、笑顔もなくなり…精神も限界だった」
あの時のリタは生きる屍
笑いもしない
怒りもしない
…泣きもしない
ただ空を無表情で眺めている人形のようだった
「俺たちはそんなリタを見てらんなくなって大総統に3人で頭下げてリタを軍から出してもらえるよう頼んだんだよ」
ロイ・マスタング、マース・ヒューズ、レイフ・ビルド
2人の大佐と中佐の申請でやっと軍から許可がおりた
リタは左腕と右目を取り戻す手がかりを探す旅という名目で軍から離れた
「だけど軍の犬になってる以上、軍から完璧に解放されることはない。そして未だ癒えぬ傷を塞ぐため…誰にも見られる事がないように彼女は眼帯で目を隠していたのだろう」
『私の二つ名…真の紅ってかくでしょ?……たぶん、この目のことよ』
リタの言葉が胸に響く
エドワードは静かに席を立つと医務室へ向かった
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