06
『スカー。貴方が国家錬金術師を何人、どんな理由で殺そうと私には関係ない』
「おい!」
軍人とは思えない発言にエドワードは声をあげる
しかしリタはそんなエドワードの声に耳もかさずにスカーを見つめる
『だけど…貴方が私の目の前で私の大切な人たちを殺すというなら……私は貴方をそれより先に殺す』
バンッと両手をつき長刀を錬成すると、スカーに向かって構える
スカーも右腕をゴキッと鳴らし戦闘体制に入る
『「―――」』
2人、息をつきほぼ同時に走り出したその時
1発の銃弾が響いた
「そこまでだ。」
『……………げ、』
「危ないところだな、鋼の。………そしてリタ。何故君がここにいるのかな?」
銃を持ったロイがコチラを睨んでくる
『いやー、…散歩?』
「歩くのもやっとなのにか?」
「髪!そうなのかよリタ!!!」
アハハは…と苦笑いをしてアルフォンスの横に座り、散らばった部品を集めだしたリタ
ロイはそんなリタの姿にため息をつき、スカーに視線をうつす
「その男は一連の国家錬金術師殺しの容疑者……だったがこの状況から見て確実になったな
タッカー邸殺人事件も貴様の犯行だな?」
『ちょっと待って…タッカー邸殺人事件って……!!』
どういうこと。と言いかけた言葉を飲み込む
エドワードとアルフォンスの表情……
それがリタを黙らせた
「…錬金術師とは元来あるべき姿の物を異形の物へと変成する者…。それすなわち万物の創造主たる神への冒涜。我は神の代行者として裁きをくだす者なり!」
『それがわからない。世の中に錬金術師は数多いるが国家資格を持つ者ばかり狙うというのはどういう事だ?』
「……どうあっても邪魔をすると言うのならば貴様も排除するのみだ」
そう言ったスカーの言葉にピクリと反応したロイ
そうして持っていた銃をリザに持たせると錬成陣が描かれた手袋をはめる
リザが呼び止めるのも無視してスカーと話を続けるロイ
その挑発しているのか、されているのかもわからない口喧嘩のような言い争いにリタは呆れ顔
「大ッ佐!!!」
スカーとロイが同時に走り出した時、ハッと何かに気が付いたリザのキックによってロイが沈められる
「何をするんだね!?君は!」
「雨の日は無能なんですから下がっていてください」
……………
「ああ、こう湿気ってちゃ火花だせないか」
『ロイ…湿気たマッチ+無能で救いようがなくなってる』
無能、湿気たマッチと言われダメージを受けているロイ
しかしそれはスカーにとって好都合
「この場の全員滅ぼしてやる!」
「やってみるがよい」
スカーがそう言った刹那、背後からの声に素早く反応し、攻撃を避ける
「ふぅ――む。我輩の一撃をかわすとは、やりおる、やりおる」
巨漢の男――――
剛腕の錬金術師、アレックス・ルイ・アームストロング
彼らが激戦を繰り広げるなか、リタは動かない身体に鞭をうち、エドワードがいる場所へ移動する
それに気が付いたエドワードはすぐにリタの身体を支える
『エド?無事…のわけないか』
「バカヤロ…お前のほうが重症じゃんか……」
リタの身体に負担がかからないように包むように抱きしめれば一瞬、身体を強ばらせたリタだが、すぐに力をぬく
『……アルのとこ、行かなきゃね?』
「そうだな、歩けるか?」
なさけない話、今のエドワードは右腕がないためリタを支えて歩くのは不可能に近い
リタは大丈夫だ。と笑って歩きだそうとしたとき
「イシュバール人…!!」
赤い目、褐色の肌
その外見にアームストロング、ロイ、リタは大きく目を見開いた
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