[携帯モード] [URL送信]
05

『ッ〜〜〜!!!』




少し走っただけで乱れる息

増し続ける痛み

どうにもならないもどかしさに声にならない叫びを発しながら走るリタ




「兄さん!!!」




そんなときだった

アルフォンスの声と金属が壊されるイヤな音が近くでしたのは




『…、エド!』




周りを見回して目に映ってきた光景

それを目にしたリタは傷が開くのも気にせず全力でそこまで走った














「神に祈る間をやろう」




傷の男………スカーとの圧倒的な力の差を見せつけられ、地面に膝をついたエドワード

アルフォンスは鎧を破壊され動けない

覚悟を決めなきゃいけないな。

そう思って口を開いたとき聞こえてきたのはありえない奴の声だった




『神に祈る必要なし!エドワード、どうせ神様なんて信じてないんでしょ?』

「「「!?」」」




肩で息をしながら現れたリタに、無事だった喜びよりも何故ここにきたという怒りのほうが強かった




「なんできたんだよ!?さっさと逃げろ!!」

『うるさい!豆!!黙っててよ!!!』
「誰が豆じゃボケーー!!」






「貴様、何者だ」




2人の言い争いもスカーの1言で静まる

エドワードの逃げろという視線での訴えを無視してスカーに向き合う




『リタ・ティペット』

「……真紅の錬金術師か」




名前を言った途端に大きくなった殺気

背筋が凍り冷や汗が伝うがここで油断したら確実にあの世行き




『…別に死ぬのはいいんだけどさ、今ここで死んだらエドやアルが殺される。……それなら生きてやるわよ』

「神の裁きを受けるがよい」




ダンッと同時に走り出したスカーとリタ

さすが最年少軍事。スカーに劣らない体術で攻防を繰り広げる

しかしリタは病み上がり




「貴様が手負いでなければわからなかったな」

『ッッ!?』




横腹を思いきり蹴られ吹き飛ばされるリタ




「リタ!!」




リタのつけていた眼帯が宙を舞う




『まだ……終わってないよ』




スカーが背を向けて歩きだした瞬間、リタの低い声が耳元で聞こえる

振り向いたときにはリタの回し蹴りが決まった後だった




「………ッリタ、お前……」

「リタ……」




土煙が消えてきてリタの姿がはっきり見えだしたとき

リタの眼帯をしていたほうの目

その目は紅




真紅




『私の2つ名…真の紅って書くでしょ?………たぶん、この目のことよ』




左右色の違う目はどちらも哀しい瞳をしていた




「お前のその目……銀髪の錬金術師と似ているな…」




銀髪の錬金術師




その言葉にリタの両目は弾かれたように開かれた




『貴方イアンを知っているの!?』

「さあな。己はイアンなどという奴は知らんが銀髪にお前のようなオッドアイの奴は見たことがある」

『……そう。わかったわ』




乱していた息を整え、スカーをジッと見据えるリタ

スカーもまたリタをじっと見ていた






_

[*前へ][次へ#]

5/9ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!