[携帯モード] [URL送信]
04



ガッ




ずっとあいつを殴っていた右手をアルに止められる




「兄さん。それ以上やったら死んでしまう」




どうしてッ…オレはこんなにも無力なんだ…ッッ




「君たちも…あの女も…きれいごとすぎる」




あの女…




「「!?」」




タッカーさんがつぶやいた言葉に目を見開く

そうだ、リタ…ッッ!!



バタバタと近くの扉を開けていく

いくつかの扉をあけた時

床にボロ雑巾のようになったリタが倒れていた




「リタ!!!!」

「兄さんリタはッ……」




オレの声を聞いて走ってきたアルも言葉をつまらせる

オレはリタの傍まで近づくと、リタを抱き上げる

オレよりも小さな体は腕におさまり、浅く苦しそうに息を吐く

そんなリタの姿に小さく唇をかむと静かに部屋を出て行く




「はは…きれいごとだけでやっていけるかよ…」

「タッカーさん。それ以上喋ったら今度はボクがブチきれる」




アルの言葉にグッと黙ったあいつ

アルはそのままニーナに近づくと謝罪を繰り返した

ニーナは「あそぼう」と繰り返すだけ…

「お姉ちゃん」




私を呼んでくれた可愛い妹が大好きだった




「リタ」




ずっと親代わりに育ててくれた兄が大好きだった




「お姉ちゃん…」「リタ…」




嫌だ、呼ばないで…




「「お前のせいで人生めちゃくちゃだ」」





嫌な夢にうなされ、目覚めるとそこは真っ白な病院




「起きましたか、姫さん」

『…ハボックさん』




起きた瞬間の体の痛みにボーっとしていると、病室に入ってきたハボック少尉と目が合う




『私……どのくらい眠ってた?』

「丸1日は寝てましたよ。大将が姫さん運んできたときは死んでるかと思いましたよ」

『……そっか』




そう言って窓の外を見る

ここから見える時計台は8時50分くらいをさしている




「そしたら姫さん、オレは大佐のところに行くんで、“くれぐれも”大人しくしててくださいよ?」

『はいはい』




“くれぐれも”を強調して言ったハボック少尉に苦笑い

そして念には念をと病室に鍵までかけられてしまった



だけど………




『甘いわよ、少尉』




そう言って近くにあったモノでロープを錬成する

それを動かないように固定して窓から垂らした




『ここは3階…行けなくないよね』




ヨッとロープに掴まり、地面に着地する

やはり身体は痛むがこの際しょうがない




『戦うわけじゃないし大丈夫だよねー』




はははは、と1人笑っていると




バコーンッッ




『………』




ああ、どうやら神様は私を嫌いなようです。

爆発のした方向をジト目で睨み、その場所に向かって走りだす

後でロイのお叱りを受けることはこの時は頭になかった






_

[*前へ][次へ#]

4/9ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!