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02

『…これは…』




初めてタッカーさんの家を訪れたときに見せてもらった研究室とは違う部屋

部屋には大きな錬成陣。そして………




『ニーナ!!!………グッ』




錬成陣の真ん中でアレキサンダーとニーナが横になっているのを見つけ駆け寄ろうとする

だが一瞬、身体に電流が走ったかのような感覚が私を襲い身体が動かなくなる

まさしくその症状は、麻痺




『タッカー…お前…』

「さっきの紅茶に痺れ薬を入れさせてもらいました。どうですか?“妹”に重ねてたニーナが合成獣にされる気持ちは…」




タッカーの言葉に目を見開く

何故…何故この男がソレを知っている…




「貴女のことを少し調べさせていただきました。」

『な、なんだ…と…』




もう話すことも苦しいなか、タッカーさんの言葉を聞き逃すまいと聞く

タッカーさんの言葉は私に衝撃を与え、大声を出そうとしたせいで咳き込み血をはいてしまう




『貴様…ッッ!』

「リタ・ティペット。貴女のような天才にはこの苦労がわからないだろう!?今!今お前を!!」




アハハハハァァア
狂ったように笑ったタッカーは錬成陣に手をつく




『やめて…やめろショウ・タッカー!娘を…愛娘を合成獣にするなんて…!!』

「君の悪夢をもう一度見せてあげるよ!!!」




バチバヂッ――――………




『……ッニーナァァア!!!!』




目の前で起こってしまった人体錬成




『ゲホッッ…』




口の中に鉄の味が広がる




「貴女にはあの兄弟が来るまで眠っていてもらいますよ。」




そう言ったタッカーさんの手には鈍器



お願い




誰か




ニーナを助けて




エド、アル…







ドサドサッ


「?」




宿屋で本を読んでいたエドワード

窓は閉めているし風などは入ってきそうもないこの部屋

積み重なっていた本が音をたてて崩れていった


「…」




エドワードは床に無惨に崩れ落ちた本を一つ手にとると、雲がかかった夜空を見上げる

月も、星もない空はこれからの悲劇を語っているように見えた







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