[携帯モード] [URL送信]
02

「こっちが資料室。」

「お―――!!」




タッカーさんの家の資料室はとても広く、色々な資料が揃っていた




「俺はこっちから」

「じゃあ僕はあっちから。リタは向こう側からでいい?」

『分かった』




リタはアルフォンスの言葉に軽く返事をすると本を読みはじめる




「私は仕事にもどる。君達には夕方迎えの者をよこそう」

「はい」




ロイの言葉に返事をしたのはアルフォンスただ1人

エドワードとリタは本に集中し聞こえてもいないようだった

そんな2人に呆れ顔のロイとは違いタッカーさんの表情は曇っていた




「…いるんですね、天才って奴は」




タッカーさんのその言葉は誰にも聞こえることなく消えた











『…フゥ。結構読んだかな』




タッカーさんの家の資料を夢中で読んでいたから肩が少し痛い

元々本を読むスピードが速いため、短時間で大量の本を読み終わっていた




『…あれ?』




肩をぐるぐる回しながら少し周りを見ていたら本棚の影から長い三つ編みが見える
それはタッカーさんの家の一人娘、ニーナのもの

だとしたら時折見える白いふわふわとしたものはアレキサンダーのシッポだろう

本棚に隠れながらちらちらとコチラを見てるニーナにクスリと笑う




『ニーナちゃん。こっちにおいで』




声をかければ一瞬驚いた後、嬉しそうに駆け寄ってきたニーナ




「お姉ちゃん遊んでくれるの?」

「お姉ちゃん遊んで!」

『…うん。遊んであげる』

『いいよ!おいで―――…』




飛び付いてきたニーナとアレキサンダーを受け止めて微笑む

どうか、どうかこの子に幸福を―――




『(…なんて、ね)』




神様なんか信じていない。だけどこの願いが叶うなら神様も信じてみたい

私の前から消えた、妹のような人生は送ってほしくないから…




『さあ、なにして遊ぼうか?』




そうニーナに向けた笑顔は無邪気な心からの笑顔だった






「…ん?」




本を読んでいると小さくリタとニーナの声がする

声がする方をそっと覗いてみると、ニーナとアレキサンダーと遊んでいるリタの姿が目に入った




「あ、」




そこで見たリタの笑顔



「…リタって、あんな風に笑うんだね」




ニーナに見せていた笑顔はあどけない笑顔

元々(身長以外)大人びている兄さんよりも、雰囲気が大人びていたリタ

そんなリタがあんな風に笑うんだと思うと、何故か嬉しくなってくる




「リタ」

『…あ、アル君』




僕が話しかけるとリタは一瞬驚いた表情をしたあとニーナに見せていた笑顔と同じものを僕に見せてくれた

それがなんだかリタに信用できると認められたみたいで更に嬉しくなった




「アルでいいよ。僕もリタって呼んでるし」

『ん、わかった』



リタと話していたら足元にニーナの姿

ギューッと僕の足に抱きついて満面の笑顔を向けてきたニーナに、僕とリタは顔を見合わせると、お互い和やかな雰囲気で頷いた



「さあ、ニーナ」

『思いっきり遊ぼうか!』

「うん!」




ねえ兄さん?

兄さんはリタのこの笑顔を見たら、どう思う?






_

[*前へ][次へ#]

2/5ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!