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「あらためまして。綴命の錬金術師、ショウ・タッカーです」




穏やかな表情でそう言ったタッカーさん

私はロイの隣に座るとジッと話を聞いた




『(嫌な予感がする…)』




タッカー邸に入ってから発作が起きる時のような息苦しさがある

それがタッカーさんが兄弟やロイと話すたび酷くなっていく




「彼らが研究を見せてほしいと言うのですが」

「かまいませんよ。だけど…」




周りは私の異変には気付かず話を進めている




「手の内を明かさないと。なぜ人体錬成に興味を?」

「ああ、彼は…」

「大佐。タッカーさんの言うことはもっともだ」




「鋼の義手…それで鋼の錬金術師と…」




その後、エドワードはタッカーさんに自分達の過去を話していく

まだ息苦しさが残る私は兄弟の話を黙って聞いている

兄弟の過去は調べたものと同じハズなのにそれよりも苦しく、悲しく、寂しいものに感じた





「そうかお母さんを…“辛かったね”」



全てを話し終わった兄弟に後タッカーさんは“辛かったね”と言った

その言葉を聞いた私はずっと閉ざしていた口を開く



『辛いかどうかは本人にしかわからない…そんな辛いなんてこと、言っちゃいけないんですよ。
それに私たちは“罪”をおかしている。そんな私たちに辛いとか、同情の言葉とかっていうのは…あてはまらない』

「…君は?」




突然話に加わった私を不信に思ったのかタッカーさんは私に問いかける

その問いにニッコリと作った笑顔を浮かべながら言った




『挨拶が遅れてしまってすいません。リタ・ティペット、地位は少佐です。そして…国家錬金術師、二つ名は“真紅”』

「!?…君が真紅の錬金術師だとは…」




真紅の錬金術師

その二つ名に酷く驚くタッカーをアルフォンスは不思議そうに見つめていたのだった







「ねえ兄さん、リタはそんなに有名なの?」




タッカーさんに家の案内をしてもらってる中、アルがそんな質問をしてきた

前ではタッカーさんと大佐が話していてこっちの話は聞こえていない様子

アイツ…リタも大佐の横で静かに歩いている

アルが小さな声で聞いてきたもんだからつられて俺も小声で話す



「真紅の錬金術師…。オレも2つ名は聞いた事があった。最年少で軍に入った女。頭も良い、運動もできる、その上整った要素で軍の人間なら知らない奴はいないんだとさ」

「に、兄さんがよくそんなこと知ってたね…」

「大佐に何十、何百って回数聞かされたんだよ…。まあアイツが真紅の錬金術師だとは思わなかったけどさ」




アイツの方を見て話していたら偶然こっちを向いたアイツと目が合う




「…ッッ」

『…』




翠色の目から目を逸らせないでいるとアイツは興味が無さげに視線をずらす

そんな反応が気に入らなくて俺は静かに眉間にシワを寄せた









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あきゅろす。
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