刀剣男士と私の本丸事情
憧れのストラ
「ああ、そろそろ視線が痛いからな。俺っちはもう退散させてもらうぜ」
言うとすぐに薬研は去って行く。
視線が痛い……?
それはもしかして
「主」
『はひっ!?』
驚きすぎて変な声が出た。
いつの間にこんな近くに……
「何をなさっていたんです?」
『……ストラを見ていました』
何故か敬語で返答する私。
「ほう、それで?どうして薬研に紅を塗ってもらう事態になるんです」
長谷部が怖い。
『紅は遠征のお土産で、使い方を教えてくれただけっていうか、その』
視線が突き刺さる。
『浮気じゃないから!』
「そうだ、浮気じゃないぜ?」
いつ戻ってきたのか、薬研が答えた。
「大将は長谷部のストラが気になってしょうがないんだと。引っ張りたくて熱烈に見つめて鼻血まで出そうになってたんだぜ?」
……なんか違うんだけど。
『ひらひらするから引っ張りたくて。鼻血が出そうになったのは変な妄想をしたせいであって』
「それは本当ですか」
長谷部がうきうきとした様子で聞いてくるものだから、必死で答える。
『本当!本当も本当!』
「言ってくださればいいのに。ストラくらい、いくら引っ張っても構いませんよ?」
な?ヤらせてくれるだろと薬研が口パクで言う。
「和解できたなら、俺っちは戻るからな」
ひらひらと手を振り、薬研は今度こそ去って行った。
「審神者様、どうぞ」
ひらっと、ストラ部分を差し出す長谷部。
『どうも』
受け取って引っ張る。
『……何故だろう』
「はい?」
楽しくないんだけど、絶対何か違くない!?
『ちょっと長谷部、動いてみて』
「動けと言われても……左右に足踏みすればよろしいですか?」
それだけでもひらひらと揺れた。
それをぎゅむっと掴む。
『うん、これこれ』
ひら〜むぎゅ、ひらひら〜むぎゅ。
「何が面白いのか、俺には理解しかねます」
そう言いつつも長谷部は付き合ってくれる。
『これをね、ずっと捕まえたかったの』
取っては離し、離しては取る。
「はあ」
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