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小説

彼女が泣く。ほろほろと涙を流す。
そっとその涙をぬぐい、彼女を抱きしめる。
すると彼女は身を硬くした。
しかし、その固い背中を優しくさすると、彼女はすがり付いてきた。
嗚咽が漏れる。
「なんで、夕鈴が泣くの」
「・・・陛下が泣かないからです」
自分の胸に額を押し付け、衣をぎゅっと握る彼女は、自分の為に泣いているのだと言う。
側近に裏切られるなんて、これまで何度もあったのに。
もう慣れてしまったのに。
彼女は、悲しいでしょうと言って、泣いてくれる。

ああ、なんて愛しいんだろう。


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あきゅろす。
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