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小説
瞳に映して
後宮にある夕鈴の私室へ行くと、夕鈴は珍しく長椅子で居眠りしていた。
黎翔は、静かにその側へ近づき、ひざをつく。
そっと頬に触れても、身じろぎ一つしない。
「熟睡だなあ」
黎翔は、目じりを下げ、小さくつぶやく。
そして、そっとまぶたに口付けた。
彼女が早く目覚めて、その瞳に、自分を映すように願いを込めて。

その後、夕鈴が目覚めるまでその顔を眺めていたら、目覚めた彼女に「起こしてください!」と怒られた。
黎翔の眼をじっと見て怒る彼女の瞳には、無意識のうちに微笑を浮かべる自分の顔が映っていた。


「にやにやしないでください!!」
更に夕鈴の逆鱗に触れるのは、もう少しあとの話。


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あきゅろす。
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