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小説
花はどちら?
「わあ、可愛いね。夕鈴。良く似合ってる」
にこにこと笑って、黎翔は夕鈴を見るやいなや、そう言った。
「!!・・・そうですか?」
夕鈴は頬をさっと染めつつも、お茶の準備へと取り掛かった。
黎翔はそんな夕鈴の様子を見て、更に笑みを深くした。
「うん。枯れない花をいつも挿すその姿も、似合ってるけど。でもいつもと違うその自然のままの、柔らかな花弁が、愛らしい夕鈴を、更に引き立ててる!」
夕鈴からお茶を受け取りながら、黎翔は更に続ける。
「庭の維持費とか、けっこう掛かるんだけど、夕鈴のその愛らしさを見たら、無駄じゃなかったなあ。もっと花が咲く樹を増やそうかなあ」
「・・・」
「あれ。どうしたの。夕鈴」
「!!知りません!」
きょとんとした様子の黎翔に、夕鈴は真っ赤な顔で眉を吊り上げ、くるりと後ろを向いた。
「――お茶菓子とって来ます!」
脱兎のごとく、衝立の向こうへ消える夕鈴に黎翔はくつりと笑う。

「我が后のなんと愛らしいことか」
衝立の向こうから、茶菓子を持って、頬をまだ染めたまま照れたように微笑んで現れる夕鈴を想像すると自然と口元が緩むのを、黎翔は感じた。
「やっぱり、逃がしたくないな」

しばらくして夕鈴が黎翔の想像通りの登場をしたのを見て、黎翔はにこりと彼女を安心させるために微笑んだ。


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あきゅろす。
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