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ゴリラと鬼を足して割ったような人だよ ‐DQZ‐


港町、フィッシュベル。
世界は元通りになり、フィッシュベルにも他の島から観光客が来るようになっていた。
これは、この平和な村に暮らす一組の男女の物語である。



「……アルス、これはどういうこと?」

マリベルが、鬼の形相でアルスを睨んでいた。

「何って、手紙だよ」

アルスはマリベルに笑顔で答える。
その笑顔を見たマリベルは、さらに表情が険しくなる。

「それはわかってるわよ。そうじゃなくて、この内容……誰が鬼とゴリラですって?」

マリベルは持っている手紙をピラピラさせながらアルスに歩み寄って行く。
しかし、アルスは笑顔を崩さない。
その様子にとうとう怒りが頂点に達したマリベルは、アルスに向かってイオナズンの詠唱を始める。
アルスはまだ笑顔を絶やさない。

「……今なら謝れば許してあげるけど」

アルスは笑顔のままマリベルに言った。

「僕、謝るようなこと何もしてないし」

その言葉を聞いたマリベルは、そうとつぶやくとアルスをにらんで呪文を唱えた。

「イオナズン!!」

しかし、アルスはそれをひょいと避けた。

「ちょっと、アルス。そこでじっとしていなさい。……いいわね?」

短剣を抜いて、マリベルがアルスのもとへ歩いていく。
そして、アルスに斬りかかった。
アルスは小さな声で無理とつぶやくと、回れ右をしてその場から逃げ出した。

「ちょっと! 待ちなさいよ!!」

マリベルは手紙を放り投げて、アルスを追いかけた。



――え? マリベルがどんな人かって?

――うーん。ゴリラと鬼を足して割ったような人だよ。



――でも、そんなマリベルのことが好きな僕って、もっと変だよね。

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