師匠と弟子。 ‐DQ\‐
僕は守護天使ナイン。
そして、師匠の名前はイザヤール。
いざ殺−る……って言ったらすごく怒られたんだ。
きっと、子供の頃にそうやっていじめられたんですね、師匠!
ハゲはきっと、心労からのものでしょう。
嗚呼、気の毒な師匠。
せめて死ぬ時くらい、安らかに――
「……守護天使ナインよ」
僕がひとりで頷いていると、後ろから声をかけられた。
後ろを振り向くと、星のオーラ並みのまばゆい輝きを放つ神々しいヘッドの持ち主である、師匠が立っていた。
「何です? 今いいところだったんですから」
僕が不満そうに言うと、師匠はわざとらしい大きなため息をついた。
「守護天使ナインよ、星のオーラを世界樹に――」
師匠が言おうとしていることはわかる。
星のオーラを捧げろと言いたいんだろう。
まぁ、僕は優秀な弟子だからそのくらいできて当然だよね。
「わかってますって、師匠。星のオーラをこの木にささげるんでしょ?」
僕はもう一度「わかってますって」と言うと、星のオーラを木にささげた。
ささげた……笹げた……笹下駄……!!
「笹下駄ですね、師匠!!」
僕は星のオーラをささげながら、師匠に向かって言った。
「こら、集中せんか!!」
師匠はどうやら怒っているらしい。
でも、大切なのは自主性、課題発見力、実行力。
さぁ、次の星のオーラを見つけに行くぞ!
「では師匠、じぃ……オムイ様、僕は次の星のオーラを見つけに行ってきます!!」
僕は優秀なウォルロ村の守護天使。
レッツゴー☆守護天使。
僕はウォルロ村へと飛び立った。
「イザヤールよ、彼は大丈夫なのかね?」
オムイが飛び立つナインを見つめながら言った。
「……ダメでしょ」
イザヤールは一瞬の迷いもなく答えた。
ナインの耳にはこの二人の会話は届かなかった。
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