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ONLY GLORY
33球目:これで終わりにしてやる
接戦となった3回戦目も陵應学園の2−0と2点リードのままいよいよ最終回の9回へと入った。
最後のマウンドに上がるべく秀二がベンチから出てくるがその表情はいつもと違っていた。


「おい。大丈夫か?」


マウンドで心配そうに秀二に聞く浦原。
秀二はただコクリと頷き土を慣らす。


「スタミナ切れ…かな?」


そう言うのは悠岳館の北山。
その隣では樋口が話す。


「初回からあんな飛ばせばな。あと言うとなると…この高校野球独特の夏の暑さだな。マウンドに立つだけでスタミナを消耗する暑さに一年生ということでの未経験さ…。いくら中学日本一になった選手でも経験次第ではこんなもんだ。」

「そう…だね。でも…もし彼らの高校が少しでも強かったら…僕らは敵わなかったね」


そう言う北山。
その言葉に樋口は何も言わずに黙るのであった。


そして試合に戻り秀二がピッチング練習を終えると悠岳館ベンチが動いた。


『九番○○君に代わりまして…千石君』

悠岳館の代打は千石。
ヘルメットをかぶりバットをくるくると回しながら打席へと向かう千石。


「おす。久しぶり」

二カッと笑いながら右打席へと入る千石。


(マジかよ。コイツは北海道の千石だよな。まずいなぁ…)

そう千石を見ながら考える千石。
そして秀二に対しての第一球目はインコースへのストレート。


しかしそのスピードはいつもの140キロ代よりもはるかに下回るスピード。
また投げるたびに秀二の方は大きく動き辛そうに見える。

「シュウ…?」

「あちゃぁ〜。スタミナ切れかな?」


浬音が不安そうに言う隣で杏凛が鋭い指摘をし、またその隣ではひかりが黙って見つめるだけである。



そしてその二球目…


カァァン…


「あ…」

二球目のカーブを引っ張り打球は二遊間。
そんな中、ショートの田中山が凄い反応で打球に飛びつきグラブの先へと入れるも間に合わずセーフ。


「なんということだ〜」

これでノーアウト一塁となり打席には一番の神藤。
その神藤の初球…


キィィィン…


「くぉ…!!」

神藤の放った打球はピッチャーへのライナー性の打球。
これを秀二はグラブを出すもはじいてしまいグラウンドへ転がりセーフ。



これで無死一二塁となってしまい打席には二番打者。
その二番打者に対しては…


ドス!!


「ボール!デット!!」


手が滑ったのか二番打者にはデットボールを与えてしまいこれで無死満塁。
そして打席には…



『3番・ファースト・樋口君』

「ヤべぇな…」

このピンチで打席に入るのは樋口。
厳しい表情をしながら打席へ向かう樋口を見る浦原。

その樋口は打席に入るとバットを構えて言う。



「これで終わりにしてやる。秀二」




次回へ続く。


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