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ONLY GLORY
31球目:そのピッチングフォームは…
2−0の陵應がリードのまま試合は終盤へと入った。
スタンドには相変わらず人が入っておらず殺伐としており唯一陵應側にいるのはひかりと浬音のみ。
するとその2人の元へ髪の毛が長い女子生徒が来た。


「おっす浬音〜♪」


ニコッと笑いながら手を振るその女子生徒。
すると浬音が嬉しそうに言う。


「やっと来たわね〜。杏凛♪」

そう言いブンブンと手を振る浬音。
そしてその杏凛と呼ばれた女子生徒はストンと座るとスコアを見ながら言う。


「お♪勝ってるねぃ〜♪」

「あったり前よ♪シュウが上手く抑えてるわよ。点を取ったのもシュウだしね♪」

ニコッと笑いながら言う浬音に笑顔で頷く杏凛。
するとその隣で座っているひかりを見ると笑いながら言う。


「あ。私岸辺杏凛。よろしくん♪」

「…よろしく」


ポソッと言うひかりに杏凛はポリポリと頭をかきながらひかりを見るのであった。




グラウンドに戻り試合は6回を終わっており未だに2−0のまま行進しており緊迫した試合となっていた。
そんな中、京壹監督はジッとある1人を見つめていた。


「…村神」


そう口に出したのは秀二の名前。
すると秀二は飲み物を飲みながら京壹監督を見る。


「なんですか?」

そう言い京壹監督を見る秀二。
すると京壹監督はジッと秀二の顔を見ると



「無理はするなよ?」

「え?あ…はい」


何の事だか分からず返事をする秀二。
すると京壹監督はベンチに座り深刻な表情で考える。


(大粒の汗の量。10キロ走った時よりもひどいな…村神の一番心配してたことか…)


そう考えながらベンチに寄り掛かる京壹監督。
すると丁度相手ベンチも動き出した。


『ピッチャー。○○君に代わりまして…北山君』

そう言われてマウンドに上がる北山と呼ばれたピッチャー。
すると陵應ベンチから達哉が言う。


「北山?聞いたことねぇな。」

「そうだな」


その達哉の言葉に返す晋太郎。
すると秀二がヘルメットをかぶりながら達哉と晋太郎に言う。

「俺が見るよ」


そう言い打席へ行く秀二。
今日の秀二は3打数2安打と好調。

そして北山のピッチング練習が終わり秀二が打席に入ると北山は今までオーバーでのピッチング練習をしていたのだが、体がスッと沈んでいった。


「え?」

打席に入った秀二は思わず口に出す。
その彼のフォームは体を沈ませるように投げ込むアンダースローである。

高校でも多くはないそのピッチングフォームに驚いた秀二は思わず見送り。
判定はストライク。


(アンダースロー…今まで見たことない)

ボールの球筋を見ながらそう考える秀二。
そして二球目。


(遅い球…やっぱりアンダーではそうスピードは出ない。これだ!!)


そう考えながら遅いボールを狙い打ちに行く秀二。
しかしそのボールはバットに当たる寸前でナチュラルにシュートした。


(しまっ…シュート!?)


ギィィン…


打ち損じた打球はボテボテのショートゴロ。
勢いが死んでいたため秀二は全力で走る。


しかしショートにはあの神藤がおりダッシュをしていた神藤は素手のままボールをつかみ素早いスピードで送球した。



「アウト〜!!」

判定はギリギリな所であったがアウト。
走りきった秀二は一塁ベースを過ぎたところで両ひざに手をついて下を向いた。


「ん…。まずい」

ベンチから思わず口に言う京壹監督。
そしてトボトボとベンチに戻る秀二はすぐに給水をする。

そして京壹監督はそんな秀二を見つめるのであった。




次回へ続く。

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あきゅろす。
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