ONLY GLORY
30球目:なんでこいつが?!
2回に秀二のツーランホームランで2点を先制した陵應学園。
悠々とダイヤモンドを回る秀二を見ながら相手のベンチは彼の打撃にざわついていた。
「あの打球マジかよ。あれで一年生か?!」
「流石は中学時代はあの神坂に次いでの長打力だぜ。」
そう話をしながらざわつく選手たち。
また監督もしかめっ面のまま座っていた。
(う〜ん…。一年にしてあの打球。彼は打者でも大成出来るくらいのセンスはある。しかしピッチャーとしてもセンスはある。いやはや…恐ろしい奴だよ。)
そう考えながら顎をさする監督であった。
その後、悠岳館は後続を断ち2点で抑えた。
そんな中三振をした山谷は。
「クソ。この恐怖のバッター山谷のバットが…空を切るなんて…」
そう言い悔しがる山谷。
しかし他の選手は知っていた。
彼は今までの練習試合においてすべての打席を三振をしていたのである。
「おし。お前のおかげで2点取った。最低2点は取っていいぞ」
「ははは。OK♪」
そう話し合いポンとグラブを叩きグラウンドへ散る2人。
そして3回の悠岳館の攻撃に入る。
『7番・センター・丹羽君』
場内放送が流れて体格の良い打者が左打席へと入るとキャッチャーの浦原は驚きを隠せなかった。
「な、何で丹羽がここに?!」
「茨城代表の丹羽豊美か…」
驚く浦原にマウンドで眉をひそめる秀二。
するとその丹羽豊美と呼ばれた打者は二カッと笑うと話し出した。
「よぉう村神〜。久しぶりだなぁ。」
「お前、何でここに…」
丹羽に質問を振りかける浦原。
すると丹羽は笑いながら話す。
「全国までお前ら待ってたんじゃあ埒があかねぇ。だからたまたま誘われたここに入学したんだよ。まぁ神藤たちがいるのは予想してなかったけどな。」
そう話す丹羽にまた何か言おうとする浦原に審判が注意をし試合再開。
そしてサインを出す浦原に秀二はコクリと頷き一球目を投げた。
「きたぁぁ!!」
ズパァァン…
初球はストレート。
これを丹羽は豪快に空振りをするが浦原はゾクッと背筋が凍った。
(へへへ。なんてぇスイングだよ・・・。そういや中学3年の全国大会でコイツから神宮球場の場外まで持っていかれたっけか。)
そう過去の思い出を思い出しにやり笑う浦原。
続いて二球目のサインを出すと秀二はまた素直に頷き二球目を投じる。
「おら!!」
ズパァァン!!
二球目のストレートをまたも空振りする。
これでツーストライクと追い込んだ。
そして三球目…
ズパァァン…!!
「ストライク!バッターアウト!!」
三球目は低めに落ちるフォーク。
これも丹羽はフルスイングをし三球三振を奪った。
「だぁ〜。クソ!!」
ゴツンとバットをヘルメットに叩く丹羽。
そしてその後も秀二はテンポよく投球をし後続も抑えてこの回もチェンジとなった。
このままこちらの流れへと持っていきたい陵應学園ではあるが流石は3年生エース。
経験を活かしたピッチングで陵應打線を抑えていく。
ギィィン…
最後の打者である一番の達哉をショートゴロに打ち取りマウンドを下がるピッチャー。
また打者の達哉は悔しそうに土を蹴りながらベンチへ戻る。
「くそぉ〜。初回と全然違うじゃねぇか」
「まぁ仕方ないよ。尻上がりに上がっていくピッチャーだからね。彼は」
そう言い達哉をあやす秀二。
そして、試合はそのまま進んでいき終盤へと向かっていくのであった。
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