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ONLY GLORY
28球目:メンバーの1人
初回を3人で切った秀二。
グラウンドへと出ていく樋口はベンチへと戻っていく秀二をジッと見ながら守備へとつく。

マウンドには背番号1を付けたエースピッチャーの3年生。
彼のピッチング練習を見ながら樋口は思った。


(アイツの方が適任だが…まぁ上下関係もあるし3年のメンツもあるだろうからな)

そう思いながら一塁の守備へとつく樋口。
そしてピッチング練習が終わりいざ試合開始となった。

打席には達哉が入ると達哉はバットを構える。



その初球はインコースに外れるボール。
また二球目もインコースへとストレートを投げこれはストライク。

(ふ〜ん。流石はエースナンバー。良い球。)

そう球筋を見ながら考える達哉はコツンとバットでヘルメットを軽く叩く。
そしてもう一度バットを構えなおした三球目。



キィィン…


「な…に?!」

投げられたのはアウトコースへのスライダー。
決して甘いコースではなかったのであるが達哉はその球を躊躇なく振りぬきセンターへとヒットを放った。


「おし♪」

一塁上でそう言いペロリと上唇をなめる達哉。
そして二番の田中山が入ると京壹監督はサインを送る。


(了解♪)


嬉しそうにヘルメットの鍔を触る達哉とボーっとした表情でサインを見る田中山。
そして達哉がリードを取ると一塁の樋口が話しかけた。


「嶋本。なんでお前はそっちに来た。」

そう質問を投げかける樋口。
少し間を空けた達哉はポツリと言った。


「その方が…楽しいだろ?」

そう言い樋口がハッと振りむいた瞬間だった。
達哉はピッチャーの足が動いた途端にスタートを切った。

ピッチャーはそのままキャッチャーへと投げボールを受け取ったキャッチャーは素早く二塁へ送球するも判定はセーフ。

「へへ♪」

パンパンとユニフォームの土を払いながら笑う達哉。
そんな達哉を見ながら樋口は顔をしかめる。


「楽しい…だと?」


達哉の盗塁で無死二塁となった。
またキャッチャーはというと達哉のスピードに驚いていた。


(なんだよあのスピード。あれホントに一年か?!)

そう思いながらサインを出すキャッチャー。
しかし打席の田中山の表情を見てキャッチャーは少し表情が緩む。


(まぁ次の打者はこんなボーっとした奴だし。大丈夫だろう)

そう思うキャッチャー。
しかしその初球。



キィィィン…


「なに!?」

初球のカーブを狙ったかの様に田中山はヒッティングをしてきた。


「どうだ〜」

そう言いながら走りだす田中山。
またランナーの達哉も三遊間への当たりを抜けると確信し走り出す。



しかしその次の瞬間、ショートを守っているスポーツ用のサングラスをかけた選手である神藤が尋常ではないスピードで打球に回り込んでおりボールを捕球していた。


「え!?」

そう呟く達哉。
すると神藤は捕球をしたボールを素早く三塁へ送球をすると達哉は慌ててヘッドスライディングをしクロスプレー。



「アウト!!」

審判の腕は高く上がりアウトの判定。
これに神藤は静かに守備位置へと戻る。


この異常とも見れるプレーに声も出せない陵應の選手たち。
そしてベンチで見ていた京壹監督は苦笑いをしながら言った。


「流石は神藤慎哉。村神たちと昨年優勝を果たしたメンバーの一人だよ・・・。」



次回へ続く。


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あきゅろす。
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