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ONLY GLORY
27球目:だがこれでは終わらんぞ
いよいよ3回戦目の試合が始まった。
相手は顔見知りのある面々が揃っている神奈川悠岳館高等学校。

今までの大会で甲子園には出場はないも優勝候補に常に名前が挙がっている強豪校である。
そんな学校に入った目つきの鋭い選手の樋口洋一とツンツン頭で顔立ちの良い方な選手の千石章宏。
そして度の入ったスポーツ用サングラスをかけた選手の神藤慎哉。


彼らは中学時代に秀二たちと知り合いだったようであり浦原はその数人に声をかけたようである。


そんな神奈川悠岳館の1回の攻撃は1年生ながらにして1番に入っている神藤であった。


「よろしくお願いします」

ぺこりとお辞儀をして打席に入る神藤を横目に見ながら浦原が話す。


「なんでウチに来なかった?そうすりゃほぼショートは安泰なのによ…。まぁ運良く田中山が来たけど…」


そう話す浦原に神藤はクスッと笑いバットを構えると言った。


「ごめんね。もうコッチに決まってたんだ。」

「そうか…。ならしゃあねぇな」

どこか寂しそうに言う浦原は秀二にサインを送る。
サインを見た秀二は頷くと振りかぶり一球目を投じた。


ズパァァン…


投げられたのは外角いっぱいのストレート。
これに神藤は手が出ずストライク。


「後悔すんぜ?来なかった事によ」

そう言いニッと笑う浦原に神藤もニッと笑う。
しかし内心は…


(やっぱノビがあるなぁ…。中学は一緒だったから対戦はあっても100パーセントは出さなかったしなぁ)


そんな考えをしているうちに二球目が投げられ神藤はこれをファールにする。
そして三球目。


(何で来る…?)

そう考えながら秀二のフォームを見て構える神藤。
そして秀二の指から放たれたボールを見て神藤はストレートと読みバットを振りに行く。


(ストレート…あれ?!)

ストレートの軌道上に振りに行った神藤。
しかし投げられたボールは打者の手前でストンと縦に落ちていきバットは空を切った。


「ストライク!!バッターアウト!!」

審判の腕が上がり三振の判定。
神藤は苦笑いをしながらベンチへ戻る。


「参ったなぁ。秀二にはあのフォークがあったっけ」

そう言い苦笑いをする神藤。
秀二の投じたのはフォーク、しかも真ん中のコースから低めいっぱいへと落ちていく変化量。
これには悠岳館の選手たちはもちろん、陵應の選手のほとんどが驚いていた。


「あのフォークにやられたよなぁ」

セカンドを守りながら言う達哉。
またベンチにいた京壹監督も驚きを隠せなかった。


「まさかあそこまでの変化量とは…ホントに村神はセンスの塊というか何と言うか…」

苦笑いをしながら言う京壹監督。
そして秀二は次の2番打者を三振に打ち取ると3番の樋口を迎えた。


「流石だな秀二。」

そう言いながら打席へと入る樋口。
打席に入った秀二はバットを大きく構えると言った。


「だが。その球は俺が打ち砕く」

そう言いバットを構える樋口。
そして浦原は初球のサインを出すと秀二は頷き振りかぶり初球を投じた。



「む?!」

初球に投じたのはフォーク。
地面にワンバウンドするフォークお樋口は空振ってしまい1ストライク。

そして二球目は…



「む…クソ」


二球目は緩急をつけた遅いカーブ。
樋口はこれを体勢を崩されながらもファールにする。

そして3球目は…


ズパァァン…


「おし!」

三球目は内角いっぱいのストレート。
これに樋口は手が動かず見送りの三振をしてしまいマウンドの秀二はグッと小さくガッツポーズをしてマウンドから降りる。

「ふ…。なかなかだな。だがこれでは終わらんぞ」

そうポツリと言いベンチへと戻る樋口。
このまま悠岳館打線を抑えられるか…


次回へ続く。



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