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ONLY GLORY
27発目:ありがとう
ベスト4で終えた秀二の選抜大会。
その翌日には近畿地区代表の神坂率いる天聖学園と、秀二ら率いる関東代表陵應学園を見事に打ち破り完全な今大会ダークホースとして名を挙げた東京代表の天零高校との今大会最後の試合となる決勝戦が行われる。

そしてその決勝当日。
秀二は一人甲子園のスタンドにいた。


他の選手らが帰る中、秀二は無理を言って残ることになった。
この試合を見届けた方が良いかも…そう話す秀二に意志をくみ取った京壹監督は“きちんと戻れよ”とだけ言い残し切符を手渡し戻っていった。


内野スタンドで試合前の練習を見つめる秀二。
するとその丁度後ろのお客のオジサン二人がお酒を飲みながら話をしていた。


「いやぁついにここまで来たね〜」

「ホンマホンマ、今回もええドラマがようさんあったなぁ」

と笑いながら話をするオジサン達。
そんな二人の話を耳を傾けていると昨日の秀二の試合の話になった。


「いやぁ、昨日の試合は物凄かったなぁ」

「なぁ、村神秀二やっけ?ありゃ今年の夏はめっちゃ楽しみな存在やな」

「去年の夏にボコボコにされてどうなるか思うたが、なんとまぁあそこまで成長するとわ。。。ホンマ高校生は凄いで。」

「せやなぁ、今頃猛練習しとるんちゃう?この選抜のリベンジやぁ!ってな」

「確かになぁ、ワイら長年高校野球見てるけんど、ああいうタイプがめっちゃ伸びるで。負けたことをバネにしてググッとな」


と話しながら笑うオジサン達。
その話を聞きながら秀二は思った。



(何してんだ俺は!)

と思わず立ち上がってしまう秀二にビクッと驚く先ほどのオジサン達。
すると秀二はオジサンたちの方を向くとペコリとお辞儀をすると、


「ありがとうございます!!でわ!」

「お、おう。おおきに…」


と驚きながら秀二の言葉に返事をするオジサンたちにニッと笑顔を見せ席を離れ出口へと駆け出す秀二。
その秀二の背を見ながら先ほどのオジサン達はポカンとしていたが、ハッとなりさらに驚いたのであった。


甲子園を背に駅へと走る秀二。
彼の頭には“こんなところでチンタラ見てる暇はない、最後の夏へ…やるぞ!”と何度も脳内をその言葉がめぐらせながら、彼は神奈川へと戻っていくのであった。


こうして選抜大会が終わり秀二は練習に打ちこんでいくうちに日が過ぎていき二年生が終わりに近づいてきた。
新年度まで残り数日となった頃、秀二とヒカリが部活帰りの道路を二人で歩いていた。

「もうすぐ新年度だね」

「だね」

と話をしながらテクテクと歩く2人。
しばらく沈黙が走る中、秀二が話をし始める。


「残りの高校野球生活も残り…半年位かな?結構、ここまであっという間に終わっちゃった。期待を持って入学して、二年の夏にはすごい苦しんで、そして春にはあと少しのところで届かなくて…。あと少しなんだよね…ホント」

と話しながら星が広がる夜空に手をかざす秀二の顔を見つめるヒカリ。
そのヒカリはそっともう片方の手を優しく握ると笑顔を見せながら話す。


「私は、またいつもの様に何もなくこの毎日を送るんだなと思いながら入学して、そこで浬音と出会って笑って、そして…秀二君とこうして出会えた。私は、ここまでとても満足してる」

と秀二の顔をジッと見ながら話すヒカリに照れくさそうに顔を赤らめる秀二。
ヒカリの改めて恥ずかしくなったのか顔を赤くしながら下を俯く。


「ありがとうヒカリちゃん。俺もそこは満足してる。たぶんヒカリちゃんがいなかったら二年の夏で崩れてたかもしれないし、正直ここまで来れるとは思って無かった。だから、この最後の夏に向けて、俺は…絶対に負けないから。」


とまっすぐ空を見上げながら話す秀二。
そんな秀二にヒカリはギュッと手を握りながら二人寄り添いながら再び歩き出すのであった。
そして秀二はヒカリに囁いた。

「ありがとう。これからも、よろしく。」

Last season
Fin〜


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あきゅろす。
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