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ONLY GLORY
23本目:お前に任せる
9回で決着がつかず、ついに今大会初めての延長戦へと突入した陵應と天零の準決勝。
10回表のマウンドには秀二が引き続き上がる。


その秀二を迎え撃つ天零の打線は6番の光明からであるが、ぐいぐいとストレートで押していくピッチングを展開され光明をショートゴロ、七番の鳴海をピッチャーゴロに打ち取ると最後はピッチャーの遠野神威を。。。



「ストライクバッターアウト!!」


とオールストレートで三振を奪い秀二は爽やかささえ見えるようにマウンドを降りる。
三振した遠野神威は少し動けなかったが、秀二の投じたストレートの感覚を思い出しながらニッと嬉しそうに笑みを浮かべベンチへとグラブを取りに行く。



(すごいなぁ村神さん。。。僕も、あんなふうに投げれるかな)


と考えながらマウンドへと立つ遠野神威。
その遠野神威は圧巻のピッチングを見せる。


なんと6番池本、7番中野、8番浦原と140キロ後半のストレートとスローカーブを織り交ぜながらバットに一球も掠らせることなく三者三振を奪って見せた。



大歓声に沸く球場。
レベルの高い二人のピッチングに観客たちは大喜び、そしてこれがまるで決勝戦のような雰囲気さえ感じさせる。

その後の試合展開は息を呑む展開になった。
11回表の天零の攻撃は9番の草薙が絶妙なセーフティバントを決めセーフ。
続く1番の緋悠隼人がセンターへのヒットで無死一二塁を作るも2番天海陸斗を三振に打ち取る。
しかしコントロールが崩れてしまい3番の沢村優輝に対してストレートの四球を与えてしまい一死満塁の大ピンチを作ってしまう。


「四番・桜井君」


打席には4番の桜井正宗。
その桜井に対しての一球目。。。。


「ストライク!」


ズドンという音とともにミットへ叩き込まれるボールに手が出せない桜井。
続く二球目も見逃しストライクを取られると最後は伝家の宝刀フォークを投じ低めを振らせる空振り三振を奪い4番の桜井を打ち取る。



「クソ…」


と悔しそうに戻る桜井。
その桜井の表情を見ながら打席に入った南戸にも力が入るが。。。



「ストライク!!バッターアウト!!」


最後は力いっぱいのストレートで空振り三振。
球速表示は150キロと計測されているも投げている本人はそれどころでは無く、三振に奪った瞬間にマウンド上で雄たけびを挙げた。


「ナイピッ!!」

「ナイスピッチです!!」


と野手らとグラブタッチを交わしながらベンチへと戻る陵應の選手たち。
これで秀二の投球数はなんと150球を越えており、秀二本人も体に相当な負担がかかるはず。
京壹監督は出来れば下げたい、ここで壊れてほしくない。


そんな思いと逆に、もしここで下したら。。。はたして他の投手で抑えきれるか?
と試合の流れでの不安も入り混じっている。

だが京壹監督は交代を告げなかった。
もし試合が終わった後に秀二が故障でもすれば世間は容赦なく京壹監督を叩くであろう。
そんな中、京壹監督の心にある「エースに任せる」という秀二への絶対の信頼を崩すことは出来なかった。


「秀二」

と声をかける京壹監督。
秀二が京壹監督を見ると、彼は少し黙るも一言発した。


「この試合、お前に任せる」


「・・・はい!」


と強い返事を返す秀二に京壹監督はフッと笑みを浮かべすぐに表情を戻しジッとグラウンドを見つめたのであった。



次回へ続く。


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