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ONLY GLORY
22本目:延長戦へ。。。
9回の土壇場で榊を攻略し同点に追いついた陵應。
盛り上がる陵應ベンチであるが、天零のベンチが動き出し遠野神威へとスイッチすると一瞬にして彼らの表情が緊張に変わった。



「きたか遠野神威」


と零すのは浦原。
この遠野神威は選抜大会では準々決勝の作新戦に1イニングのみの登板であるが、その試合では3番から始まるサム・中浦・フリューリーの強力打線を三者三振に打ち取ったと言う内容。
また秋季大会においては、全試合に登板をし失点は決勝戦の2点のみと驚異の防御率を残しての甲子園である。


マウンド上でピッチング練習をする遠野神威を見ながら話をするのは打席へ立つ秀二と次の池本。


「村神さん、叢さんのデータでは持ち球は遅いカーブとSFF、ストレートは140後半ですがそれ以上の球速はあると思います。そんでコントロールが抜群…どこの化けもんですかね…」


と笑いながら話す池本に秀二も笑う。
しかし池本はすぐに表情を戻し秀二に話す。


「村神さん並みの実力ですが、あなたなら打てます」

「・・・ありがとう」


と言い残し打席へと向かう秀二。
秀二が打席へと立ち試合が再開されるとマウンド上の遠野神威は大きく深呼吸をするとキッと秀二を見る。


(ついにあの村神さんと…夢みたいだ…いや、これは夢ではない!)


と心の中で言いながらセットポジションからの第一球目はアウトコース低めにズバリと決まるストレートに秀二は手が出ず見送ってしまう。


(ナイスコントロール…)

と思わず褒めてしまう秀二。
続く二球目も同じコースへときまりストライクとなり遠野神威の制球力の強さが証明された。
そして三球目も全く同じ場所に投じるも秀二はこれをカットする。



(やはりカット出来るか…予選じゃあこれで見逃し三振を連発出来たんだが、やはり甲子園…と言うよりこの村神秀二か)

とカットした秀二を見る鳴海蒼都。
続くサインにコクリと頷く遠野神威の四球目は一転してインコースへと投げ込むが秀二はこれもカット。

また続く五球目・六球目とカットで粘り球場は歓声とどよめきが広がる。


(よし・・・次は)

とサインを出す鳴海に直ぐに頷く遠野神威。
そして七球目は、なんと完全に意表を突いた遅いカーブ。


フワッと浮くようにリリースされたボールがググッと曲がってくるボールに秀二は完全にタイミングを崩される。
しかし秀二は脅威とも言える下半身でグッとこらえてタメを作りバットを振りぬくとボールはキィンと弾き返される。


打球はピッチャー右へのライナー。
だが遠野神威のグラブは瞬時に反応をしなんと鋭い打球をもぎ取るようにグラブへと捕球されるとすかさず振りむきスタートを切っていた二塁ランナーの晋太郎が慌てて戻る二塁へと送球し緋悠隼人が捕球しアウトとなりこれでチェンジとした。



「よし!」


と小さくガッツポーズをしながらマウンドから降りていく遠野神威にキャッチャーの鳴海がハイタッチで出迎える。
そしてベンチでも他の選手らとハイタッチを交わしながら良いムードを作る天零。


それに対しチャンスをものに出来なかった陵應ベンチは少し空気が重くなりかけるも、ベンチに戻ってきた選手たちを大きな声で出迎えたのは京壹監督。


「ほらお前ら下を向くな!!なに負けたような顔をしている、土壇場で同点にした。お前らはまだ負けてないぞ!それとももう満足か?」

と選手たちに投げかける京壹監督。
すると秀二がグラブを手にしながら話を始める。


「みんな、ここから俺は…もう1点もやらない。だから…みんなを信じてる」


と言いベンチから出る秀二に守備に着く選手たちはビビッと全身に電流が走った。
絶対的な信頼を置けるエースからでたこの言葉に他の選手たちが何も起こらない訳が無い。


この秀二の言葉は、陵應にとっても良い起爆剤になったのである。



そして、試合は今大会初めての延長戦へと突入した。




次回へ続く



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