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ONLY GLORY
126発目:しばしの休養
羅新の優勝で神宮大会の幕が閉じた。
表彰式を終え、選手たちは球場の外へと出ると羅新の選手たちに多くの記者達が群がりインタビューをしていく。


すると1人の女性記者が羅新ではなく、陵應の選手たちの元へと向かうと秀二の所へやってきた。



「あ。すいません神奈川タイムズの者ですが良いですか?」


「え?えぇ」


と少し戸惑いながらもインタビューに応える秀二。
まず最初にその女性は自分の名を名乗った。


「えっと、あ!私は記者の塩見蓮子です、まぁ新人ですが」

と名乗るその女性記者はスーツでビシッと決めてはいるもののロングの髪の毛は少しクシャッとなっており少しだらしのない髪形ではある。


「えっとでは最初に…あれ?メモ帳は…」

と鞄やスーツの胸ポケットを何度も手を入れながら必死に手帳を探す。
ようやく見つけると慌てながら手帳を開きインタビューをしだす塩見蓮子に秀二は苦笑いをしながら受け答えをする。

「えっと今日の試合ですが、率直な感想は?」

「えっと…試合自体は負けてしまいましたが、自分達にとって良い課題を見つけることが出来たと思います。」

と言う風に淡々とインタビューを答えていく秀二。
そしてあらかた質問を終えると塩見蓮子はパタンと手帳を閉じると人安心したのか大きくため息をつくとニコンと笑みを浮かべながら話しだす。



「私、神嶋君より村神君の方を注目してるんです。そして今日この試合でさらに、あなたのファンになりました。これからも追って行きますのでよろしくお願いします。」


と笑顔でいう彼女に秀二はニコッと笑いながら頷いた。
インタビューを終え、荷物を持ち片付ける秀二ら陵應の選手達。

すると今度はそこへ神嶋・竜崎の2人がやってくる。


「秀二。今回は俺の勝ちだな」

「だな。残念だったよ。あのホームラン…あれが打たれたら敵わない」

「ははは。あれ、勘だったみたいだぜ?なぁ竜崎」

「ん、まぁな」

と笑いながら話す神嶋に少し恥ずかしそうに答える竜崎。
その事実に秀二も笑ってしまい、竜崎も少し顔を赤くしながらも笑うのであった。



「まぁ、でもこれじゃあ完璧の勝利じゃあない。次は選抜の舞台で、必ず完璧な勝利を収めるよ」


「こっちこそ。次は投げ勝つ」


と言い2人はガッチリと握手を交わすと神嶋・竜崎は別れを告げ帰って行くのであった。
そして陵應も荷物を持ち、帰路へと向かうのであった。


帰りの貸し切りバスの中、京壹監督は選手たちを見ながら話をする。


「今日の試合は惜しかった。おそらく試合の中でみんなそれぞれ課題を見つけたと思う。選抜まで後約5カ月。それまでに、課題を克服をするようにしよう」

『はい!!』


神奈川の家へと戻った秀二はユニフォームの入ったカバンをボンと床に置くとドッと疲れが来たのかベットの上へと寝転がると天井を見つめる。


「疲れた…今日何球投げた?150球?そりゃ腕が重いわけだ」

と独り言を言いながら目をつむる秀二。
すると携帯が震えだし秀二は寝転がりながら携帯を開くと着信が来ておりヒカリからであった。



「もしもーし」

『あ、今日はお疲れ様』

「うん。お疲れ」

『えぇっと…今からそっち行って良い?』

「ん…良いよ」

そして数分後、秀二の部屋にヒカリと美黎がやってくると美黎は袋いっぱいの食材を持ち台所へと立ちヒカリは秀二の所へ行くと、鞄の中のユニフォームに気づく。


「シュウ君、ユニフォーム直ぐ洗わなきゃ汚れ取れないよ?」

「あ、まぁ疲れてたから…」

「でもダメ。あ、ミレイユニフォーム用の洗剤あったよね?」

「えぇ、その袋の中よ」

と言い袋を指さす美黎にヒカリはユニフォーム用の洗剤を取りだし洗濯機へと向かう。


「あの子、試合中ずっとハラハラしながら見てたのよ?心配過ぎてね」

「あはは…そりゃ面目ない」

と苦笑いをしながら話す秀二。
洗濯機で洗濯を入れたヒカリはすぐに秀二の隣へと行き優しく寄り添い、それを見た美黎はクスッと笑いながら


「ホント魅せてくれるわね。アツアツ」

と意地悪そうに笑う美黎に秀二は恥ずかしそうに笑うのであった。
神宮大会が終了。
選抜までの約5カ月となる中、秀二はしばしの休養を得るのであった。




次回へ続く。


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