ONLY GLORY
118発目:心中だな
一挙六点をたたき出し見事逆転に成功した陵應学園。
雲仙のエース日向もベンチに下がり回も8回。
マウンドには秀二が立つ。
しかも秀二はここにきてさらにギアを入れたように直球がさらにノビを増し8回裏の6番から始まる打線を三者連続三振に打ち取るとガッツポーズをしながらマウンドを降りる秀二。
「・・・クソが」
とベンチから見つめ呟く日向。
その日向は手元にあるタオルをポフッと顔にかけると一人タオルを濡らす。
そして九回・・・
「ストライク!!バッターアウト!!ゲームセット!!」
最後の打者を三振に打ち取りマウンド上で大きくガッツポーズをとる秀二にワッと群がる選手たち。
これで決勝への最後の切符を陵應が手に入れたのである。
両校整列をし挨拶を済ませると陵應の選手は応援団の元へと行き挨拶。
その直後に選手たちは大きくガッツポーズをとりながら勝利を喜んだ。
パチパチと拍手が鳴り響くスタンドの中では、次の決勝の相手である神嶋と竜崎が静かに立っており竜崎が神嶋に話す。
「決まったな」
「あぁ。この舞台に彼らが選ばれた。やはり彼は戦える程の選手だよ。いや…ライバルだよ」
と話す神嶋はゆっくりと背を向け球場を後にしていき、続いて竜崎も去っていくのであった。
荷物をまとめ球場を出る秀二ら陵應の選手たち。
球場の外で集まっているとそこへ雲仙のエース日向と森宮がやってくると秀二を見つけ近寄りながら話しかけた。
「おい秀二」
と最初に口に出したのは日向。
右腕にアイシングをした秀二は日向を見て立ち上がると日向は近くまで歩み寄り少し恥ずかしそうに左腕を差し出しながら話した。
「なんだその…まぁナイスピッチングだったな、俺らに勝てたことは褒めてやるよ」
「そいつはどうも」
と笑いながらグッと握手をする秀二。
日向はすぐに自分の手を秀二から引き離すとビシッと指をさしながら言う。
「次は勝つからな!!選抜でお返ししてやる!!」
と言いクルッと背を向けてスタスタと歩いて行ってしまった。
そんな彼を見て森宮は苦笑いをしながら片手でゴメンのポーズをとりながら背を追っていくのであった。
「うん。次も頑張らなきゃね」
と笑顔で呟く秀二は自分の荷物を持ち、ほかの選手たちと一緒に移動をするのであった。
試合後のミーティングを終えた陵應ナインは着替えをし各自帰路へとつく中、秀二も帰路へとつくのであるが、帰ろうとした時に京壹監督引き留められた。
「秀二、少しいいか?」
「はい」
と引き留めに応じた秀二は京壹監督の元へと行くと京壹監督は少し間を置きながら話をしだした。
「決勝戦は明日だが…投げれるか?今日もフルで投げて球数も100球を軽く超えてる。無理をさせたくはないのが俺の気持であるが、最後はお前に聞くよ」
と話す京壹監督。
その問いに秀二は考えることなく即答をする。
「投げますよ。もちろん、監督のお気持ちはありがたいです。でも、決勝戦には彼らがいますから」
と神嶋・竜崎の存在を挙げる秀二に京壹監督はフッと笑みを浮かべる。
「そういうと思ったよ。よし、最後はお前と心中するつもりで行くか」
と話し京壹監督は秀二を帰すのであった。
帰っていく秀二の背中を見ながら京壹監督は何かを考えながらもポツリと呟く。
「うん、明日はホントに秀二と心中だな。」
と呟き、京壹監督も荷物を持ちかえっていくのであった。
次回決勝戦。
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