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ONLY GLORY
19球目:本格始動!!
ゴールデンウィークが終わった翌日。
野球部に一人の男性がやってきた。


その男性はすらっと背が高く長い髪の毛を後ろにひとつに束ねており一見優男風の男子生徒であった。
その男子生徒は部室の前までくるとコンコンとドアをノックした。



そして中にいた秀二らがその音に気づく。


「ん?どうぞ〜?」

疑問符を出しながら言う秀二。
ギイっとドアが開くと先ほどの男子生徒が入ってきた。


「野球部はここですか?」

そう言いながら入ってくる男子生徒に秀二たちはお互いの顔を見合わせるも頷く。
するとその男子生徒はニコッと笑うと話し出した。


「はじめまして。私は今日より野球部に入りました叢千慈といいます。今度ともよろしくお願いします」


そう言いぺこりとお辞儀をする叢千慈(以降より叢及び千慈)


「えっとポジションは?」


そう千慈に聞く浦原。
すると千慈はにこりと笑うと言った。



「いえ。選手ではなくマネージャーです」


その彼の言葉に秀二たちは驚いた。
男子マネージャーとして入ってくるのは珍しくはないが彼らは初めて見る光景である。

すると今度は部室に浬音が入ってくると千慈を見て言う。


「あ。来たわね」

「はい。少し遅れましたが」

その二人のやり取りにまた驚く選手たち。
すると浦原が


「あれ?浬音知ってんの?」

「えぇ。昨日見つけたから誘った♪」


そう言いグッと親指を立てる浬音にポカンとする浦原。
これで3人目のマネージャーが入ったことになりいざグラウンドへと向かう。


彼らはグラウンドを慣らし準備体操を済ませるとキャッチボールを始める。
するとグラウンドに京壹監督が来ると選手たちは挨拶をしキャッチボールを再開。


「あ。こんにちは監督。」

「おう叢。来たか」

そう言い叢に挨拶を返す京壹監督。
そして選手たちがキャッチボールを終えるころに京壹監督は選手たちをいったん集めた。


「おし。夏の大会まであと2カ月。本格的に練習を行っていくからな。」

『はい!!』


監督の言葉に返事を返す選手たち。
そして京壹監督はまず秀二に言う。


「秀二。お前はこの1ヶ月間みっちりと走りこめ。それまで投げ込みは無し」

「は、はい!」


その言葉に少し戸惑う秀二ではあったが彼の性格上反対意見は出せないので監督の指示に従う。


「あと桑野もな。」

「はい!!」

大きな声で返事をする桑野。
そして秀二と桑野の二人は走り込みへと出かける。

「次は達哉と田中山。お前らは二遊間のコンビネーションを深めるためにキャッチボールやストレッチをいつも二人でやれ。」

「はぁ〜い」

「そうなのかぁ〜」

頭を掻きながら返事をする達哉にボーっとした表情のまま答える田中山。
そして次に京壹監督は晋太郎と浦原を見る。


「浦原は内野の中心になってノックをしてくれ。あとなるべく俺の近くにいるように。館山は守備だな。お前少しファーストの守備がお粗末すぎる。打撃はあのまま伸ばせばいいが」

「は、はい」

「はい」

疑問符を出しながらも返事をする浦原と自分の苦手が見抜かれ冷静に構えるもどこか不安そうな雰囲気を出す晋太郎。
そして京壹監督は選手たちに指示を出していき最後に山谷を見る。


「お前はぁ〜…えぇ〜…」


指をさしながら間を空ける京壹監督。
山谷はまだかまだかと指示を待つ。



「山谷はぁ…何かしてろ」

「はい!!!…え?」



こうして、野球部は大会へ向けて本格的に始動したのであった。


次回へ続く。


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