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ONLY GLORY
71球目:あなたならできる
2点リードのまま迎えた八回。
聖陵学院は動き出し何とドラフト1巡目に中日から指名をされた望月秀樹がマウンドへと上がってきた。



「うげ。望月さん…」


出てくること自体が想定外だった陵應ベンチ。
マウンド上でピッチング練習をし終えた望月は隆彦と打ち合わせをする。



「どうする?負担かからないような組み立てする?」


そう話す隆彦に望月は笑みを浮かべながら言う。


「大丈夫。いつものようにリードしてくれ。甲子園と思ってね」


「了解♪」


グラブタッチを交わしホームへと戻る隆彦。
マウンドでロージンパックをポンポンと手に乗せる望月は最後に大きく息をつきロージンを地面に落とすと打者が打席へと入り試合が再開される。


サインを出す隆彦に頷き望月はセットポジションから一球目を投じた。



ズパァァン…


「うお…」


投げられたのはストレート。
秀二に比べて球速はないがストレートのキレというのが異常なほどの球威を増していたのである。


そして…


「ストライク!!バッターアウト!!」


八番打者を三球三振に打ち取りまずは1アウト。
続く九番打者も…



「ストライク!!バッターアウト!!」



続く九番打者も三球三振に打ち取りあっという間にツーアウトを取った。
ツーアウトとなり打席には先頭の達哉。


その達哉に対しての初球は…



「か、カーブ!?」

何と初球は望月の決め球でもあるカーブ。
これに達哉は振りにいくも空振り。



(普通のカーブではなく縦に落ちるようなカーブ。あの球ならあの世界戦でも結果が残せるのは当たり前だ。)


そう考えながら腕を組み戦況を見つめる京壹監督。
そしてブルペンでは秀二がその球を見て驚きをあらわにしていた。


「あの球は…打てない」

そう笑みを浮かべながら呟く秀二。



そして二球目はストレートを投げ達哉はこれをファール。
その次の三球目・四球目とファールで粘る達哉。


(追いつくのにやっとだ…)


厳しい表情で見る達哉。
それを隆彦はマスク越しに見てサインを出す。


望月はサインに頷くとセットポジションからの第5球目…



「やべ…チェンジアップ!?」


投げられたのはチェンジアップ。
達哉はバットを振りにいくもボールはバットの下を通過していき隆彦のミットに収まった。



「ストライク!!バッターアウト!!」


結果は空振りの三振。
なんと八回は三者連続の三振で終えてしまったのであった。


「ナイスピッチング!!」


ハイタッチを交わしながらベンチへと戻る望月と隆彦。
これには陵應の選手たちはかなりのプレッシャーがかかる。


「あと1回か…」


そう呟きながらベンチを出ようとする秀二。
するとヒカリが秀二に言う。



「大丈夫。あなたならできる」


そう言うヒカリに秀二はキョトンとするがすぐに表情を笑顔に戻すとピースをヒカリに見せてマウンドへと向かった。


「うん。少し元気出た」

そう言いながらマウンドに立つ秀二。
しかし…彼のスタミナは確実に底をついていた。



迎えた八回の裏の攻撃は九番の青木から。



ズパァァン…


「ストライク!!バッターアウト!!」

何と青木を三振に獲った秀二。
これでまずは1アウト、しかし次は先頭の隆彦。


(少し球威が落ちてる。ここまでに秀二の投球数は110球だが、それ以上にプレッシャーがアイツのスタミナを削ってるんだ。)


そう不安を思う浦原。
しかしここはエースに頼る…そう彼は決めた。


そして…



キィィン…


「クソ…」

投げられたストレート。
しかしその球は弾き返されライトへと抜けて行くヒット。
これで一死一塁となり打席には二番の山本。



その山本はバントの構えをし送りバントを決めツーアウトながらランナーを得点圏へとすすめ打席に迎えるのは三番の俊哉。



(ヤッべぇ俊哉さんかぁ。)

このチャンスで一番厳しい相手の俊哉。
秀二は大きく深呼吸をしセットポジションに構えサインを確認。



そしてその初球…



キィィン…



「よし!!」


投げられたのはストレート。
しかし俊哉はこれを弾き返しセンターへのヒットを放ちこの間に二塁ランナーの隆彦が帰り1点を追加されてしまうのであった。


これで3点差となった陵應学園であった。



次回へ続く。


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あきゅろす。
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