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立海大
当たり前の/丸井ブン太


すっかり枯れ葉も舞い散る12月
今にも雪が降りそうな寒空の中、
私は近所のブン太と帰っていた

凍える寒さと、
日が落ちる早さに合わせてか
私達の足はいつも速歩きだった


会話は少ないけど
ブン太は必ず私の隣で歩く

それが私達の当たり前の帰り道


でも、



「なぁ、ちょっと聞いてくれっか?」



今日はいつもと違った



『な、何?』



いつも聞いてるはずの声なのに
なんだか妙に緊張した。




「今日さ…」

私の返事を合図に、ブン太はゆっくり話し出した
そのペースに合わせて
私達の足も次第にゆっくりになっていた


「今日さ、ジャッカルの奴が
"好きな奴に彼氏ができた"
って泣いてて。
さんざん愚痴った後
でもあいつが幸せならいいや
なんて笑ったんだ

そんとき俺、何で失恋したのに笑えんのか分かんなくてよぃ
よく考えてみたんだ
もし俺の好きな奴に俺じゃない彼氏が出来たらどうだろうって。

やっぱそれは嫌だ
彼氏のことうらむし、
好きな奴のことも嫌いなるかもしれねぇ

って思ったんだけどよ…


でも嫌いになんてなれねーなぁって。
好きな奴は女として好きだけど…
人としても好きだな、って思うんだ。

だからそいつが選んで、いいと思って好きになったなら
受け入れないといけねぇと思うし
それでそいつが幸せならいっかって思った

そりゃ勿論、好きな奴が選ぶ相手は俺がいいぜぃ?

でも、何とゆうか…ほらあれだよぃ///」


そこまで一気に話したブン太は止まって静かに私の方を振り向き




「お前は、幸せになれよぃ?」





こう、優しく笑った






それが私とブン太の最後の帰り道だった。




当たり前の


(当たり前の帰り道)
(当たり前に君がいて…)
(どうして今更)

(君が恋しくてたまらない)


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あきゅろす。
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