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shooting star
Beginning




ラバーは、一眠りして朝方になり、ライルをバーに運ぶとまた来ると言って帰った。
ジェシカは不思議な気分だった。ラバーといると、かすかにドキドキしている。







それから2週間が過ぎた。

「ジェシカ〜見た?記事」

「?」

そう言って、講義が終わったばかりのジェシカに、ナディアがゴシップ記事を持ってきた。

〔ラバー新恋人!?先日未明にブースターのスター、シド・ラバーと新人女優のアンナ・リードとの熱い夜が目撃された〕

記事の内容はラバーとのスキャンダル。

「初めて…見た」

関係ないと思いつつ、ジェシカの心は複雑だった。

「…不思議じゃないでしょ。何人…女がいたって…」



それから何日かは、みんな私に妙な視線を向けてきて…大学にいづらかった。



1ヶ月後、バスケットのシーズンは終わり、バーも静かになった。

「ジェシカ、今度ドライブに行かないか?」

…オジサン達がいないと、バーに来るのはこんな男達ばかり。

「…行かないわ」

「つれないなぁ、ジェシカは」

カウンター越しに頼まれたウィスキーを差し出す。
一気に飲み干す男。23歳くらいだが、相当酔っている。

「…酔ってるわ。これで最後にしてちょうだい」

すると、バーに2人組の男が入ってくる。

「久しぶり、ジェシカ」

「!」

ラバーだった。スミスと2人でカウンターに座る。練習帰りのようだ。

「何を…?」

「ビールを」

「…はい」

2人にビールを作るジェシカ。
しゃべり方や態度を見て、ジェシカを誘っていた男は自分に対してと違う態度をとるジェシカにムッとして、ラバー達にからむ。

「おっと。この街のスターがこんな安っぽいバーに来るとは…」

いつの間にかラバー達の隣に座る。

「…落ち着くバーだからな」

ラバーは隣に座る男を軽く交わす。
しかし、馴れ馴れしく肩に手を置く男。

「ジェシカ目当てだろ?」

あまりにからむので、ジェシカが止めに入る。

「ちょっと…もう十分飲んだでしょ?」

「…まだだ。ウィスキーロックをもう1杯」

「!」

「こんなスターに会ったんだ。おまけしてよ、ジェシカ〜」

ジェシカが困惑していると、ラバーが言った。

「…ジェシカ、彼の最後の1杯はオレが払うから」

「!」

「HEY!やっぱスターは気前がいいねぇ!オレ、あんたを応援するよ」

「ありがとう…」

ジェシカは、少し嫌気がさしながらもお酒を作る。
ラバーの大人な態度に感心した。


「ウィスキーロックよ…」

わざと反対側に置いて、ラバーから少しでも離そうとした。

「ねぇ、ジェシカ…」

グラスを出した手をつかまれたジェシカは嫌悪感たっぷりの視線を男に向けた。

「…ウィル・フロードを覚えてる?」

「!!!!」

ジェシカは全身の力が抜ける。
男の腕を振りほどこうと後ずさり。

「…嫌…放して…」

「へぇ…あいつの話はマジだったか」

「!」

ジェシカがもがく。ラバーが止めに入る。

「おい、やめろよ。嫌がってんだろ」

「あんたには関係ねぇだろ!」

ラバーの手を振り払うと、不気味に笑いカウンターに乗り上げジェシカに近づく。

「ジェシカ…ホントに君なんだ。あの…ムービー…」

「!」

ジェシカがガタガタ震えた。
店長がジェシカの異変に気づき、男をなだめる。

「お客さん、ちょっと酔ってますね…」

「あ…?」

「お代はいいので、お帰り願えますか?」

店長が間に入ると、男は鼻で笑って出ていく。

「また来るよ…ジェシカ」

手を放されたジェシカはカウンターに崩れた。座り込んでもう一歩も動けない。
ラバーはただ見ているしかできなかった。

「ジェシカ、裏で休むといい…」

店長がカウンターの中に入り、ジェシカを支えて歩いた。
下を向いたままだが、涙がぽたぽた落ちていた。

「…なんか、楽しく飲む気分じゃないな」

スミスが言った。
店長が戻って来ると、ラバー達に謝る。

「…申し訳なかった。気分を害してしまっただろう?」

「…ジェシカは?」

ラバーが聞くと、店長は静かに笑った。

「今、安定剤を飲んだから…寝れば落ち着くはずだが」

「安定剤…?」

「あ…失礼。お客さんにこんな話…」

ラバーはジェシカの状態がそんなに悪いなんて知らなかった。

「…金、払っておいてくれ」

「え?」

スミスを置き去りにして、バーを飛び出すラバー。





「おい!お前…!」

ラバーは走って追いかけると、酔ったさっきの男がフラフラ歩いていた。すぐ追いついた。

「スター、どうした?」

「ジェシカが怯えてた…お前、何か知ってるのか!?」

ラバーが問いつめると、男はヘラヘラ笑う。

「スターはジェシカにホレてるのか?」

「黙れ。質問に答えろ」

「………。」

男は少し考えたが、言った方がおもしろいと思ったのか、笑いながら話す。

「ウィルが…酔ったときに言ってたんだよ」

近くのベンチに座って話を続ける男。

「ジェシカは街でも有名な美人。初めて落としたのは自分だと」

「!」

「オレは…その証拠も見た」

男が不気味にヘラヘラ笑う。

「…ジェシカが3人に何日も…何回も強姦されてるビ・デ・オ」

「!」

「すげぇリアルで…オレ、ジェシカにホレたよ。何度もウィルにビデオくれって言ったけど…」

男はつまらなそうに話す。

「ダビングしてくれないんだよなぁ。あんないいの…独占しやがって…」

ラバーは立ちくらみ。

「あんたも見てみなよ。ソソるぜ?真っ暗で…2人きりだと思ってたジェシカの灯りがついた瞬間の顔!」

男は大声で笑ったが、ラバーは自分がジェシカにしたことを本当に後悔した。

歩いた記憶もないが、ラバーはバーに戻った。

「…お連れ様、お帰りになりましたが」

店長が言うのを無視してカウンターに座った。

「…ウォッカくれ」

ラバーは浴びるように飲んだ。






「……!」

ジェシカは、スタッフルームで寝ていたことに気づいた。
起き上がると、少し頭がボーッとする。
バーが静かだ。もう閉店したようだ。

「お客さん、起きてください。閉店です」

店長の声がバーに響いていた。ジェシカは毛布をかぶったまま歩いた。

「店長…」

ジェシカがバーに顔を出すと、カウンター側に店長がいた。

「ジェシカ…動いて大丈夫かい?」

「はい…仕事中にすみません」

「全然いいんだ。もっと早く気づけばよかったのに…」

ジェシカが首を横に振る。

「店長ほど私によくしてくれる人はいません。感謝しています」

店長はクスッと笑った。

「彼も君を心配していたよ」

「彼?」

ジェシカがカウンターに近づくと、潰れて寝ていたラバー。

「…ジェシカが心配で帰りたくないと」

「!」

「きっとジェシカの声じゃなきゃ起きないよ」

ジェシカは、カウンターで眠るラバーのそばに行く。
隣に座り、ラバーの寝顔を見た。
前はあんなに恐怖を感じたのに、今は全然感じない。

「…起きて。カゼひくわ」

ジェシカが声をかけると、ビクッとして起きたラバー。

「ジェシカ…!」

ラバーは起き上がり、ジェシカの手をにぎる。

「大丈夫か?気分は?」

急に動き出したかと思えば、慌てて上から下まで見て心配するラバー。
思わず笑ってしまった。

「ふふっ…あははっ…」

「!」

ジェシカがこんなに大笑いしたのを初めて見たラバーは見とれた。
しかし、手をにぎっていることに気づき放した。

「あ…ごめん。大丈夫そうで…よかった」

ラバーは少年のようにテレた。頭をかきむしる。
なんだか意外でちょっとかわいい。

「…今日は?どうして来たの?」

ジェシカが聞くと、ラバーが酔ったせいとテレたせいで赤い顔のままポツポツ話した。

「…オフになって…すぐ来たかったけど…」

「………。」

「…記事見た?」

「うん…」

店長は安心したように笑い、裏の清掃に行った。

「あれ、ウソだからな!オレ…」

必死に否定するので、クスクス笑うジェシカ。

「と…とにかくだな、ほとぼりが冷めるまで…来なかった」

店長が水を持ってきてくれたので、それをラバーに渡すジェシカ。
店長はまた裏へ。

「ジェシカに…迷惑はかけたくなかったんだ」

「!」

「だから…ジョン(スミス)を連れてきた。もう…会いたくて…限界だった」

ラバーが見つめてきたので、ジェシカはテレた。

「…今日、最後に笑顔が見れてよかった」

ラバーが触れそうで触れない位置まで顔に手を伸ばす。
ジェシカがビクッとしたので触らなかった。

「…ジェシカ、時間がかかっていい…」

「………。」

「少しずつでいい…」

ラバーの口調が真剣で、戸惑うジェシカ。
ラバーは下を向くジェシカをのぞき込むようにして言った。

「オレを…好きにはなれない?」

「!」

ジェシカは、突然の告白に頭が真っ白になる。

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あきゅろす。
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