[携帯モード] [URL送信]

shooting star
Happy days




「!」

ジェシカはそれを聞いて、顔から火が出そうだった。
今、ラバーに何を言おうとしたのか…自分はただの女の1人でしかないことを忘れていた。

「今行く…」

ラバーが玄関に行こうとするのでジェシカが慌てた。

「待って…私、裏口から帰るから…」

「え…」

「か…勝手におしかけてごめんなさい…」

近くのテーブルにジェシカは前にもらった門と家のカギを置いた。

「返すわ…」

そのまま帰ろうとすると、

「待って!」

ジェシカは腕をつかまれた。

「…放して!」

ジェシカの目からポロッと涙が落ちた。

「あなたが私だけのハズない…」

「!」

「そんなこと…わかってたのに…」

涙が止まらなくて、本気で振り払おうとすると、急に抱きよせられた。

「!?」

「ジェシカ…」

痛いくらいに抱きしめられた。

「そんな風に思ってくれると思わなかった。不謹慎かもしれないけど、今すっげー舞い上がった」

「え…?」

「オレ…ジェシカの過去を知って…泣いた」

ラバーが手を少し緩めた。至近距離で目と目が合う。

「だからもう…ジェシカを泣かせたり、苦しめたりすることは絶対したくなかった」

「シド…」

「全部終わって…またスターに戻れて自信がついたら会いに行こうと思ってた」

「え…?」

「でも、ジェシカ。君を守れない弱い男でいいの?」

「!」

「君に苦労をかけることになる…」

「…会えないよりは…ずっといい。それに私、スターのあなたはよく知らないわ」

「ジェシカ…」

「シド…」

「………。」

「………。」

ジェシカは、ラバーにキスをしたい衝動を抑えるのに必死だった。

「…もうダメ…っ」

「!」

ジェシカは少し背伸びして、ラバーにキスをした。
ラバーは驚くが、キスに応えた。


「…ちょっと…人を待たせといて何イチャついてんのよ?」

「!!」

「!」

ジェシカは女の声にハッとして、ラバーを突き放した。
声がするまで、女の存在を忘れていた。

「ご…ごめんなさい。帰るわ」

慌てて帰ろうとするジェシカをラバーが引き止める。

「待ってって!コイツ、同じ施設育ちなだけだから。妹みたいなもん」

「!」

「大体、高校生だし。ガキだよ」

「失礼ね〜」

ジェシカはそんな誤解をしてたのも少し恥ずかしくて顔が赤くなる。
女=リアがラバーに子ども扱いされて、ムッとしてジェシカを見て指を差した。

「あー!ジェシカだ」

「!?」

名前を当てられてビックリするジェシカに、リアは近寄って手を握る。

「私、あなたの高校の後輩なの!あなたのチア、いつもビデオで見て練習してるの」

「え?ビデオ?」

「知らないの?大会で優勝したときの…」

ジェシカが衝撃を受けた。

「今もあるの?」

「よく見るよ」

「本当に!?やめて…恥ずかしい…」

ジェシカがテレると、リアは嬉しそうに言った。

「ジェシカかわい〜。想像通り!」

「ジェシカのチア!?オレも見たい!リア、持ってきてくれ」

「いいけど高いよ〜」

2人がはしゃぐとジェシカが怒った。

「勝手に商売しないで!」







「そっか…噂の恋人がジェシカだとは思わなかった」

夜食を3人で食べた。デリバリーのピザ。

「シド、女の趣味良くなったね」

「うるさい!」

「…前の彼女ってどんな?リアは知ってるの?」

「ジェシカ!」

ジェシカがリアに聞くと、ラバーを無視してノッてきた。

「それがね、ハデで化粧濃くてグラマラスな?いかにも頭も尻も軽そうな女!」

「リア!」

「何よー本当のことでしょ?」

「へぇー…」

ジェシカが白い目で見ると、ラバーが慌てた。

「い…いや…その…」

フイッとジェシカがそっぽを向くと、あせるラバー。
それを見たリアがニヤニヤ。

「シドがあせるなんて初めて見た〜ウケる〜」








「…じゃあ、送ってくるから…待ってて」

リアはラバーからハロウィンパーティーをするための資金調達に来ていた。
ラバーがリアを送っていくらしいが、ジェシカはまだムッとしていた。

「…帰るけど」

「え!?ちょ…」

「ウソよ。話があるから待ってる」

からかってから優しく笑うと、ラバーはホッとしていた。

「ジェシカ、またね。今度は私のチアも見て」

「うん。楽しみにしてる」








「ジェシカ、いい女だね」

帰りの車の中で、リアが言った。

「かわいいし、スタイルもなかなか。美脚だし。どこで見つけたの?」

「…たまたま行ったバーで働いてた」

「えー?バーテン?みんなに教えちゃおー」

「ジェシカはオレを“バスケットマンのラバー”として見てなかった…嫌われてたしな。最初」

「へぇ…よかったじゃん。そういう女に出会いたい〜って言ってたじゃん」

ラバーはまっすぐ前を見て運転していた。

「あぁ…リアが認めるなんて相当だな。今までは全否定だったろ?」

「当たり前じゃん!あたしが一番付き合い長いんだから。ケバ女はNG!」










「…ただいま」

ラバーは言ってからハッとした。何年ぶりに言ったんだろう。

「早かったわね…」

ジェシカがちゃんといてホッとするラバー。
よくよく考えたら、さっきキスをされて以来の2人きり。
あのキスを思い出すと、ラバーはたまらなくドキドキした。

「?…座って」

「あ…あぁ」

ジェシカがリビングでソファーに座るように言った。
ラバーがジェシカの隣に座ると、ジェシカは少し怒っていた。

「さっき、君を守れないって言ったわね?弱い男でいいの?って」

「…あぁ」

ラバーがうつむくと、ジェシカは優しく手を握った。

「あなたは…今までいっぱい助けてくれた。その分、今度は私が助けたいの」

「ジェシカ…」

「だから…確認しておきたいことがあるの」

ジェシカの手が震えた。

「今日、試合を見たわ。思うようにプレーできてなくて…理由がわからなかった…」

「………。」

「そしたら手術って…何?」

「ジェシカ…」

「ちゃんとバスケットできるの?元通りになるの?」

心配しながら聞く。
すると、ラバーはジェシカにわかるように説明してくれた。

「…関節遊離体って言って…骨のかけらのようなものがヒザにあるんだ」

「!」

「だから時々痛むんだ。手術すれば問題ないんだけど、リハビリで今期は絶望的って言われて迷ってた」

「………。」

「怖かった…でも、決心がついたよ」

ラバーはジェシカのほほをなでた。

「ジェシカがそんなに心配するなら…早く治して…元通りにしないと」

「シド…」

「本気のオレはすごいからな」

「な…何がよ…?」

「Make Love」

「!」

ラバーがソファーで横を向き、ジェシカの耳元でささやくと、ジェシカがテレた。

「…ふざけないで…よ」

「ジェシカ、かわいい」

ラバーが髪をなでた。
ジェシカはテレながらも思い切って聞いた。

「…もう1つ、確認なんだけど…」

「何?」

「ウィル…に50万ドル払ったって本当!?」

「!」

ジェシカも横を向いてラバーを見つめた。

「本当…なのね?」

「………。」

「なんでそんなことしたの?」

ジェシカは少し怒った。

「私はそんなの望んでなかった」

「ジェシカは、バラまかれてもよかったの?」

「それは…嫌よ」

「そう思ったから…」

「嫌だけど!…私とあなたの関係にお金がからむようになって、おかしくしたくなかったの!」

「!」

「…返すに返せない金額じゃない…どうしてくれるのよ」

ジェシカがスネたようにうつむくと、ラバーはジェシカがかわいくて仕方がなかった。

「おかしくなるって?」

「だって…あなたが何かしようって言ったら断れない」

「何かって何?」

「…色々よ。全部」

「だったら…ジェシカはオレのキスが拒めないんだ…」

「!」

ニヤッと笑いながら、ラバーがジェシカに近づく。
避けようとしたジェシカはソファーに倒された。
真っ赤になりながらジェシカは言った。

「…こういうのが嫌なの」

「………。」

「子どもだって思われるかもしれないけど…気持ちがないのは嫌…物みたいに扱われたくない…」

ラバーは泣きそうになるジェシカのおでこにキスをして笑った。

「わかるよ…だってさっきのジェシカのキス…すっげー嬉しかった」

「!」

「…好きでたまらない…って気持ちが伝わってきた」

「違っ…わないけど…」

ジェシカが真っ赤になると、

「じゃあ…オレの気持ちも感じて…」

ラバーはキスをした。
今までになく、激しく深いキス。

「…ん…っ…」

長いキスが終わると、ジェシカの息が上がる。

「わかった?」

ラバーがクスクス笑うと、悔しそうなジェシカ。

「あなたが…キスがうますぎることしかわからない…」

「…ぷっ…!あははっ…」

ラバーは大笑い。
それから、もう一度顔を近づけて言った。

「じゃあ、ジェシカにはちゃんと言葉で言うよ」

「え…」

ラバーがさっきより長いキスの直前に言った。

「ジェシカ…ずっとそばにいて」

「!」

「君を失いたくない…大好きだから」


〔END〕



[*前へ]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!