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shooting star
Confession



「あ、こっちよ!」

喫茶店に入ってきたラバーをルーナが呼んだ。
ラバーは深く帽子をかぶったままだった。

「待った?」

「…少しだけ」

ルーナはアイスティーを飲んでいた。
ラバーはコーヒーを頼んだ。

「…で?私にジェシカの何を聞きたいの?」

ストレートに切り出したルーナにラバーは少しだけ笑った。

「いきなり本題?」

「だって恋愛してるわけでもないのに、こんな密会みたいな現場を誰かに見られるのはごめんだわ」

「そうだな…お互い困る」

「…ジェシカはね」

すぐにルーナは話しだした。

「私と一緒。チアをやってたの」

「!」

「ジェシカはあのルックスでしょ?それに一番うまくてね…でも、嫌味なことは全然しなくて…みんなから慕われてたわ」

「ジェシカがチアか…」

「うん。私はいつも2番だった。ジェシカはライバルだけど、憧れでもあったの」

ルーナは楽しそうに話していた。
だが、急に表情が曇る。

「…そしたらね…ラグビー部のキャプテンだった男が…ジェシカに近づいてきた」

「…そいつがウィルってやつ?」

「!」

ルーナはラバーがウィルの名前を知っていて驚いた。

「ジェシカが話した?」

「いや、名前だけ…噂で聞いた」

「そう…」

「今日聞きたかったのはそいつのこと」

「!」

ラバーはルーナをまっすぐ見ながら聞いた。

「連絡がとりたい。連絡先知らない?そいつから…全部聞く」

「………。」

ルーナは答えるか迷っていた。
しかし、ゆっくりと口を開いた。

「…少し離れた街のハーバーで働いてるって聞いたわ」

「ハーバー?」

「ヨットハーバーよ。レンタルの。でも最近…この街のハーバーにもいるみたい」












「…ジェシカ」

「!」

授業が終わり、ラバーのマンションに帰ってきたジェシカを帽子を深くかぶった男が呼び止めた。
ジェシカは一瞬ビックリしたが、ラバーだとわかるとホッとした。

「あ…どうしたの?」

「もちろんデートのお誘いに」

「!」

ジェシカが少しテレた。ラバーは笑顔で言った。

「ライルが…」

「ライルは友達のとこに泊まるって言うから送ってきた」

「そうなの!?ごめんなさい…そんなことまで…」

「言ったろ?ライルは友達だから。気にするな」

そう言ってラバーが近づこうとすると、ジェシカが離れた。

「?」

「あ…汗かいたの。着替えてくるから…車で待ってて」

ジェシカはそう言ってマンションの中へ。
ラバーはそんなことでテレるジェシカが愛しく思えた。





「ごめん待たせて…」

「!」

そう言って助手席に乗ったジェシカ。
ラバーはその姿に驚いた。

「?…何かおかしい?」

ジェシカが聞くと、ラバーは少し慌てながら、車を走らせた。

「…スカート姿なんて初めて見たなと思って」

「仕事でもはいてるわ」

「あれは制服だろ?私服でだよ」

「…似合わない?」

ジェシカがしゅん…とすると、ラバーが慌てた。

「いや、すごく似合うよ」

ジェシカはクスクス笑った。

「スカートは男の人の前でははかないって決めてたの」

「!」

「でも、あなたは色々親切にしてくれた。私にだけじゃなくライルにも」

信号で止まると、ジェシカとラバーは見つめ合う。

「これは信頼の証」

「!」

「あなたなら…あなたの言葉は信じてもいい気がする」

「ジェシカ…」

「だから…少し近づいてみて…いい?」

そんなかわいらしい格好で言われて、さすがのラバーも理性が飛びそうだ。

「ジェシカにキスされる日なんかが来たら…オレ死ぬかも」

「ふふっ…」

少しテレながらお互いに笑った。






「…そういえばジェシカとこんな近くで向かい合って話したの初めてだ」

小さなレストランで向かい合わせに座り、食事中の2人。

「そういえば…そうね」

「ジェシカは、来年卒業?」

「そう。就職準備中よ」

「仕事は?何かやりたいこととか?」

「とりあえず仕事はキツくても、稼げて安定してる企業かな」

「…現実的だな」

ラバーが笑うと、ジェシカも少し笑って、すぐに真剣な顔をした。

「ライルを連れて、早く家を出たいの。ライルにあの家はよくない」

「ジェシカはいつもライルのため…だな。ライルがうらやましいよ」

すると、ジェシカの表情が曇る。

「…そんなことないわ」

「?」

「ライルが義足なのは…私のせいだもの」

「!」

驚くラバーに、ジェシカはうつむいた。

「3年前の夏…夜に遊びに行きたくて寂しがるライルを置いて出かけたの」

「………。」

「ライルを置いて出かけたことなんてなかったら…ライルは私を追いかけてきた」

ジェシカは昔を思い出して、本当に後悔した。

「そこで車に跳ねられたらしくて…」

「そうだったんだ…」

ジェシカがうなずいた。

「その夜、色々あって…何日かして次に病院で会ったとき…心神喪失状態だった私に会いにきたライルは…笑って言ったの」

ジェシカは泣きそうになったが、ラバーに向かって笑った。

「おかえり…って」

「!」

「その時からライルが私のすべてだった。だって…一番の無償の愛をくれたんだもの」

ジェシカは流れそうな涙をぬぐった。

「だからライルが私の中では一番大切なの。あの時、本当に気持ちが救われたから…」

「そうか…」

ラバーがジェシカに笑いかけた。

「ライルもジェシカが一番大切みたいだ。いいな…姉弟って」

ラバーが寂しげに笑った。

「俺にはそんなのいないからな…」

「…前に少し言ってたわね…ずっとなの?」

「あぁ…正確には8歳からだけど」

食べおわった2人はジュースを飲んだ。

「交通事故で両親と…5歳の弟が」

「!…私と同じ歳?」

「…あぁ。急に家族が消えて…それからは孤児院」

ラバーは笑ったが、ジェシカは笑えなかった。

「オレも同じ車に乗ってた…それなのにオレだけ生き残って…ずっと苦しかった」

「………。」

「だから弟が見ると喜んでたバスケットを始めた。顔とか…記憶はあいまいなのに、オレがバスケットをしてるのを見て笑ってる声だけは覚えてるんだ」

ラバーはジュースを飲み干した。

「…だから身体がもつ限りは現役でいたいよ」

ジェシカも飲み干して、少しテレたように言った。

「なんで私達こんな話…」

するとラバーがクスッと笑った。

「お互いをまず知りたかったってことじゃない?」







「あ…お金…」

レストランでの会計をサラッと出したラバーにジェシカが言うと、車に乗りながらラバーは言った。

「いいって。ジェシカ手料理タダで食べてるし?」

「でも…」

「…じゃあ、次はジェシカがアイスクリームおごって」

「アイス?」

「そう。オレ、大好きなんだよね」

そう言って車を走らせるラバー。ジェシカはクスクス笑った。

「子どもみたい…」









本当にアイスクリームを買って、2人は浜辺に。外はもう真っ暗だ。
車の中で食べた。

「ジェシカ…君が好きだ」

「!…ケホッ…」

アイスクリームでむせたジェシカ。

「どうしたの?突然」

「突然じゃないだろ?ただ…言っておきたかった」

「………。」

ジェシカがテレてうつむく。
ラバーはそれだけで嬉しかった。拒絶されないだけで。

「……たい…」

「え?」

ジェシカがボソッと言ったのでラバーが聞き返すと、ジェシカは今までになく真っ赤な顔で言った。

「あなたの家に行きたいって…言ったの」

「本気!?」

ジェシカは無言でうなずいた。ラバーの目をチラッと見てすぐにそらした。
ラバーは飛び跳ねたいほど嬉しかったが、焦って慌てないようにした。

「わ…わかった」

「サイドブレーキ忘れてる…」

「!」

基本的な運転の仕方も忘れてしまうほど動揺していた。




「意味…わかってる?」

念のためラバーが聞いた。
すると、ジェシカが静かにうなずいて言った。

「わかってる…」

「!」

「あなたは真剣に私を想ってくれてると思うから…なるべく応えていきたいの」

「ジェシカ…」

「シド…あなたが好き」

「!」

突然の告白に動揺しまくりのラバーは赤信号に気づくのに少し遅れて急ブレーキ。

「今…なんて?」

ジェシカがうつむく。

「もう言わない」

「お願い、もう1回!」

「言わないってば」








「…でも、あなたは人並み以上にモテるし、女に困ったことなんかないでしょ?」

「?」

ラバーの家に近づき、門が開くとジェシカが少し震えていた。

「そんな人のそばに私なんて…」

すると、玄関前に車を止めたラバーが、ジェシカの手を握って言った。

「オレはね、ジェシカに会って初めて誰かの心が欲しいと思った」

「!」

ジェシカが顔をあげると、ラバーは優しく笑った。

「ジェシカ…君はオレが本気でホレたんだ。最高にいい女に決まってる」

「…すごい自信」

クスクス笑うジェシカにラバーは優しいキスをした。

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