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shooting star
Kiss



「…わかった」

ジェシカが手を離さないので、ラバーが言うとジェシカはホッとしたようで気を失った。
ジェシカを抱きかかえたラバーは男をにらむ。

「ジェシカに近づくな…」

「スターがそんな脅迫みたいなことしちゃっていいわけ?」

ヘラヘラ笑う男に、ラバーも笑いながら言った。

「そうだな…悪かった。だが…」

「?」

「オレのファン、血の気多いからさ…」

ラバーはジェシカを大事そうに抱いて歩いた。

「うっかりオレがアンタの話しないように…気をつけろよ」

「!」

男は少しすくみ上がる。
しかし、負けずに言った。

「ウィルにスターの話をしたら…興味もってたよ」

「!」

ラバーが振り返ると、男は走って逃げながら言った。

「近いうち…会ってみたいって言ってったぜ」

「…待て!」

ラバーが呼び止めると、男が遠くで振り返る。
少し大きめの声で言った。

「オレも会いたいと…伝えておけ!」

男はおもしろいことになりそうだと、笑いながら走り去った。







「……ん…?」

ふわふわ夢見心地で目を開けると、結構近くにラバーの顔があった。

「え…?」

ジェシカが戸惑っていると、ラバーが目を開けたのに気づき笑った。

「起きた?」

「ジェシカ!?よかった…」

ライルも安心したようだ。
しかし、ジェシカはラバーに抱えられていることに気づくと暴れた。

「降ろして…!」

「いいじゃん。もう少しだし」

ラバーがマンションのエレベーターに乗る。

「お…重いから」

「鍛えてますから」

「は…恥ずかしいの!」

ジェシカが真っ赤になると、ラバーはクスクス笑った。

「誰も見てないよ」

「ライルがいるわ」

「…ボク、邪魔?」

「ち…違うわ!いてくれなきゃ…困る」

エレベーターを降りると、ライルが車イスでドアの前に。カギを開ける。

「…ありがとう」

ライルが先に中に入ると、ジェシカはラバーの胸の辺りの服をつかんだ。

「何が…?」

「…助けてくれて。シドがいなきゃ…どうなってたかわからない」

「気にするな。無事でよかった…」

ライルが中でドアを押さえてた。
通りすぎて、ジェシカをベットへ。



「本当に恐かったとき…」

ラバーがジェシカをベットに降ろした。
離れようとしたラバーの腕をつかむ。

「…心の中であなたに助けを求めてた」

「!」

「来てくれて…安心した」

ジェシカに見つめられて、ラバーは理性が飛びそうだ。

「…まだ…怖くなくなったわけじゃないけど…」

ジェシカの手がかすかに震えてる。

「そばにいてくれると…安心するの」

「ジェシカ…」

ラバーが勢いまかせにキスをしようとしたが、すぐにやめた。

「…っ…ごめん」

「いいの!」

ジェシカが顔を近づけた。

「キスして…自分からは…できないから」

「ジェシカ…」

「あなたなら…嫌じゃない。震えてたとしても…嫌じゃないの」

ジェシカの吐息が顔にかかると、ラバーはもう我慢できなかった。

「…っ…ん…」

ジェシカも最初は震えて何もできなかったが、ゆっくりと深くなるキスに応えた。
あんなに深い関係を恐れていたジェシカだが、ラバーを失いたくないと心から思った。

きっとそこまで深くはラバーは思ってくれてないとは思っていた。



「ジェシカ〜…大丈夫?」

「!」

「!」

ライルの声で現実に戻った2人。
ジェシカは自分が信じられなかった。このまま抱かれてもいいと思っていた。

恥じながらもラバーとジェシカは、離れるのが名残惜しそうに見つめ合う。

「…ジェシカ…君を愛したい」

「!」

ラバーが耳元でささやく。

「次は…もう止まらない」

ジェシカは真っ赤になるが、ラバーは振り返らずにいったので気づかれなかった。

ジェシカは、ラバーにたまらなく惹(ひ)かれていたが、認めるのが恐かった。

認めてしまえば、ラバーの今の女の1人になる。
何人もいるに決まってる。
自分は通過点にすぎないことを思い知らされる。

何より認めたら、この想いと過去がラバーの重荷になりそうで恐かった。






「シド、泊まってってよ」

「!」

ラバーは驚いたが、

「…朝早いんだ」

断った。今ここにいたら襲うに決まってる。
そこまで理性が強固なほど大人じゃない。

「そっか…ジェシカがあんなだからシドがいれば安心なのに」

「…悪いな」

「ううん。あと何日かしたらきっと家に戻れるし」

ライルが笑うと、ラバーも笑ってライルの頭をなでた。

「ライルはいい子だな」

「へへっ…」

「オレは家族ってよくわからないし、いらないと思ってたけど…」

「!」

「ライルとジェシカを見てると、家族がすごくいいものに思えてきた」

ライルは笑顔全快。

「…シーズン始まったらまた見に来るか?」

「いいの!?」

「あぁ、また招待する。前みたいないい席だとジェシカが困るから、普通の席な」

玄関でラバーがドアを開けた。

「うん。シド、今日は楽しかった。ありがとう」

「オレもだ」

「家もくれて…ホントに助かったし。また明日も来る?」

「あさって…だな。ジェシカも大学もバイトも休みだろ?」

「うん。待ってるね!ねぇ、あさっては…ボクはいいから、2人で出かけてきてよ!」

「!」

「ボクは留守番してる。ジェシカ…最近、不安定だから。シドが元気にしてあげて」

ライルは少し表情が曇る。

「ボクじゃ…ダメだから」

落ち込むライルの肩をたたく。

「そんなことないよ。ジェシカはライルがいるから笑えるんだ」

「!」

「ライルの笑顔はみんなを元気にする。オレもだ」

ラバーが言うと、ライルは少しテレながら笑った。

「シドは…ジェシカを泣かせないよね?」

ラバーはかがんで、ライルと同じ目線になってから言った。

「当たり前だ。約束」

「うん」

すると、少しテレたラバーがライルに言った。

「…ライル、あさって…ジェシカを連れ出していいか?」

「!」

ライルは驚きつつも、おもいっきり笑った。

「もちろん!」







「…初めまして」

次の日、ラバーはチーム代表としてカーターとトーク番組に出演。
すると、たまたま別番組のイベントでブースターの宣伝に来ていたルーナ達チアに会った。

「あ、今年No.1になったコだよね?」

カーターが笑顔で、ルーナと握手をした。

「はい。まだまだですけど…」

「そんなことない。君のチアは最高だ」

カーターが言うとニッコリ笑ったルーナは、手をラバーに差し出した。

「ルーナです」

「……初めまして」

ラバーが無表情のまま握手をすると、

「ふふっ…」

ルーナがクスクス笑った。

「?」

「ウワサ通り。興味ない女にはとことん冷たいのね」

ルーナは手を握ったまま、少し近づき小さな声で言った。

「私がジェシカの高校の同級生でも?」

「!!」

ラバーの目の色が変わる。

「ルーナ!ちょっといいかい?」

ルーナ達はスタッフに呼ばれた。

「はーい。今行きます」

ルーナ達は去ろうとすると、ラバーが言った。

「何時に終わる?頼みがあるんだ…」

「…夕方の予定だけど」

「じゃあ、待ってる。近くの喫茶店で」

「わかったわ…」

ルーナは、きっとジェシカのことだろうと思った。







「…ところでラバー、君のプライベートにはみんな興味があると思うんだ」

収録中、司会者の男がプライベートの話をふると、観客からも拍手。

「オレ?いや、カーターでしょ?」

「じゃあ、2人とも…今、恋人はいるのかな?ラバーはウワサの彼女とは?」

「オレはもちろんフリー。オレもシドにそれは聞きたかった」

カーターの答えにみんな笑ってラバーの答えを待った。

「…オレもいない」

みんながえー!?という反応。ラバーは続けた。

「でも、大事にしたいと思う人はいます」

「!」

ラバーの爆弾発言。
司会者は興味津々で聞いた。

「そ…それはウワサになった女優の…?」

「違いますよ」

ラバーが笑ってかわすと、司会者はさらに興味が。

「じゃあ、さっそく新しい恋が!?」

「今回ほど本気なのはないです」

ラバーがきっぱり言うと、司会者も盛り上がる。

「でも、女性ファンが減ってしまうのでは?」

「それに関してはカーターもいるし…」

カーターを見ながら言うと、カーターはおどけてみせて、笑いを誘った。

「プレーでがっかりさせるようなことは絶対しない」

すると、収録時間もいっぱいのようで、司会者がまとめに入る。

「…はい。盛り上がっていますが、お時間のようです」

観客からは、えー?とブーイング。

「来週のゲストは…」







「ありがとう、ラバー。なかなか楽しかったよ。昔のリポーターの血が騒いだよ」

司会者がラバーに握手を求めた。
手を握ったラバーは笑顔で言った。

「こちらこそ。また呼んでください」






収録が終わり、ラバーはルーナを待たせている喫茶店に向かった。

ここで、収録の話を聞いていたパパラッチがラバーを追いかけていた。

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あきゅろす。
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