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High&Low
捨てるつもりが…?




「…どうぞ」

真人さんはとりあえず部屋に私を連れてきた。



『………。』

中に入ると、すぐバスルームとトイレがあり、奧にはツインのベット。
ちょっと意識した。これでいいのかな…。

「そんなに構えなくていいよ…」

『!』

「座って」

真人さんがソファーに座るように言った。

私がちょこんと座ると、真人さんはお茶を持ってきて、向かいのソファーに座った。

『あ…ありがとうございます』

「いいえ…で?どうした?」

私はお茶を一口飲んでから答えた。

『小笠原さん…なんだか怒ってて…』

「俺と美依ちゃん楽しそうにしてたからね」

『そしたら…アリス…さんって人が来て…』

「アリス?あぁ…花咲アリスか」

『…それで…2人で…部屋に…』

私がうつむきながら言うと、同じくお茶を一口飲んでから真人が言った。

「だから…腹いせに自分も誰かとヤッてやろーって?」

『…違います!』

慌てて私は否定した。

『小笠原さん…その時、言ったんです』

「…何を?」

私はちょっと言うのをためらったが、事実だから認めないわけにはいかない。

『…私じゃ…物足りない…って』

「!」

言うだけで泣きそうだった。

「そんなこと言ったわけ?あいつ」

真人さんが驚いていた。私はうなづいてから言った。

『…でもそれは…仕方ないんです…』

「?」

『私…まだエッチしたこと…ないから』

「!」

少し恥ずかしがりながら言うと、真人さんは飲みかけのお茶噴き出しそうになった。

「…嘘でしょ?あいつ、まだ何もしてないの?」

『す…するわけないです!私みたいな…のに。きっと何も知らないから…いつも最後までしてくれないんです…』

「………。」

『初めてって…痛いらしいし。面倒なんだと思います』

こんなことをなんで今日初対面の人に言ってるんだろうと思ってきた。

「…何で俺なの?」

『私のこと何とも思ってなくて…割り切ってくれそうだから。それに…』

「?」

『優しそうな人…だったから』

真人さんが笑った。

「光栄だね。でも、そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」

『今しかないんです…』

「何で?」

『私…小笠原さんに好きって言っちゃったから』

「マジ?」

私はうなづいて、話を続けた。

『今なら…少しは小笠原さんも私のこと気にかけてくれてると思うから…』

真人さんは、立ち上がってから言った。

「…わかった」








『………。』

私はシャワーを頭から浴びていた。真人さんに言われて浴びていた。

これでいいんだ…と思うけど、やっぱり初めては好きな人としたかった…とも思った。






「…もしもし?」

真人は美依がシャワーを浴びている間に、

「何だよ。今…」

「花咲アリスと一緒?」

光に電話をしていた。光は何で知ってるのか驚いている。

「俺もね…お前の近くに女といるんだ…」

シャワーの音を光に聞かせる真人。

「誰だと思う?」

「知るかよ」

光が電話を切ろうとすると、真人がクスクス笑いながら言った。

「今日会ったコなんだ」

「へぇ。切るぞ」

「ははっ…切らない方がいいと思うけど」

「?」

真人は何だか楽しそうだった。

「そのコ、美依ちゃんって言うんだ」

「…!?」

「かわいいコで、泣きながら頼まれちゃった」

「てめ…ふざけんなよ!」

「エッチして…って。かわいすぎたから…することにした」

「!」

光がイラついてるのがわかると、真人はますますおもしろそうだ。

「…本気かよ?」

「本気だ。止めたきゃ…部屋見つけてみろよ。そしたらあきらめてやる」

「!」

「じゃーな…」

真人は光がこんなにも動揺しているのを初めて感じた。
それがおもしろくて、からかってやりたくなっていた。

「光が手を出さない女ねぇ」






「…っ!クソッ」

一方、光は電話が切れて動揺していた。
このままじゃ、美依が真人にヤラれてしまう。

お互いにシャワーを浴びて、今からエッチする雰囲気だった光とアリスだが、

「光?どうしたの?しよーよ〜」

光にはアリスの声なんて聞こえてなかった。

近く…?真人が言っていた。
光はすぐに着替えてとっさに部屋を飛び出す。








『あ…あの…シャワー…浴びてきました』

バスローブ一枚で出てきた。
ソファーでくつろぎ、眠りかけていた真人さんに私が声をかけると、目を覚ました真人さん。

「あ…あぁ」

『疲れてるんですか?』

「まぁ…少し。俺はプロ目指してるから」

『プロ?』

「そう。プロサッカー選手。だから疲れたなんて言ってらんないわけ」

『………。』

「じゃあ、ちょっと待ってて」

真人さんがシャワーを浴びに行こうとするので、慌てて手をつかんで引き止めた。

「?」

『疲れてるのに…こんなこと頼んでごめんなさい…』

「!」

反省気味に言った。頑張ってる人に泣きついた自分がちょっと恥ずかしかった。

すると、真人はクスッと笑って頭を撫でた。

「気にしなくていいよ。納得したのは俺だし」

『………。』

そのままシャワーへ。
私は窓から外を見ていた。







真人はシャワーの蛇口をひねり、浴びてるように見せかけた。

「アホ光…早く来い」

服を着たまま洗面所で顔を洗う。

「…本気でヤルからな」








私は、ドレスがしわにならないようにハンガーにかけた。
すると、ドアをノックする音。
ちょっと疑問に思いながらも、少しだけドアを開けた。

すると、急にすごい力でドアを引っ張られ、開けられた。

『!』

驚いて後ずさりすると、私はもっと驚いた。

『小笠原さん…!何で…』

光くんはスーツを着ていた。
バスローブ姿の私を見て、光くんは息切れしながら怒った。

「何やってんだ!」

怖くて奧まで後ずさりすると、バスルームから真人さんが出てきた。

「ごめんね〜美依ちゃん。俺、やっぱり光は裏切れないよ」

『真人さん…』

光くんは私から目をそらさない。それがわかるから直視できない。

「でも…光、優しくしなきゃダメだぞ」

真人さんが光くんの肩をたたく。

「黙れ」

「まだ何もしてないから怒んなよ。でも、よくわかったな」

「近くって言ったから同じホテルなのはわかった。あとはパーティー用にとってある部屋のどれかだ」

「手当たり次第いったわけね。やるじゃん」

光くんが肩の手を振り払うと、真人さんはため息をついた。

「…で、アリスは?どうせ置いてきたんだろ?」

「902」

「了解。後は…じゃあ、ごゆっくり」

『!』

こんな雰囲気で2人きりになりたくなくて視線を真人さんに移すと、真人さんはごめんと口パクで言った。

ドアが閉まって真人が出ていくと、とたんに光くんがベットに私を投げた。

『きゃっ!?』

倒れこむと、すぐに光くんが上に覆いかぶさる。

『あ…やっ!』

怖いのと恥ずかしいのとで、身体が震えた。

「そんなにヤリたいなら、俺がヤッてやるよ」

『!』

光くんが自分の上着を全部脱いだ。
そして、私のバスローブのひもをほどく。

『嫌…っ、やめて…』

震える手で光くんの手をつかんだ。

「何それ?真人はよくて俺は嫌?お前、俺が好きだとか言ってなかった?勝手だな…」

『!』

光くんの冷たい言葉に涙が流れた。

「泣くのは…これからだろ」

『!』

光くんをこんなに怖いと思ったのは初めてだった。

『だって…』

怖かったけど、全部正直に話すことにした。

『今日、恋人みたいに歩けて…本当に楽しかったんだもん』

「………。」

『でも小笠原さんは…アリスさんを選んで…』

声が震えた。

『よりじゃ物足りないって言った…』

「だから何?腹いせ?」

真人さんと同じことを言う光くん。
私は首を横に振る。

『違う…よりが、処女なのがいけないんだと思って…』

「!」

『男の人のことも何も知らないから…小笠原さん…嫌なんだと思って』

「より…」

『処女じゃなくなって…エッチが上手になれば…小笠原さんが他の人選ぶ可能性…少しは減ると思ったんだもん』

私はボロボロ泣いてしまった。こんなんだからダメなのに。

『よりは…っ』

しゃべっている途中で、光くんに口をふさがれた。
激しく深いキス。身体の芯までシビれる。

『小笠わ…っんん…っ』

抵抗する気力も奪われるほどで、とろけそうだった。

「…バカ」

ハァ…と息をつくと同時に唇が離れた。

『な…なんで…』

予想外にドキドキするキスに私は動揺した。

「…より…笑って」

『!』

以外な言葉に、視線が泳ぐ。

『で…できません』

「なんで…真人の前では笑ってたくせに…」

『だって小笠原さんは…!』

思わず目を見てしまって、すぐにそらした。

『…近くにいるだけで…ドキドキする…から』

「!」

すると、光くんが耳元でささやいた。

「より…お願い」

『何です…か!?』

「俺に抱かれて?」

『!』

顔が一瞬で真っ赤になる。





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あきゅろす。
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