[通常モード] [URL送信]

Cross Road
シンデレラ気分(梓)




『………。』

「………。」

リムジンに乗ると2人は無言に…。
アズは、秀をチラチラ見てはパッと目をそらしたり…落ち着かない。
秀は、窓から外を見ていた。

あんな捨て方したのに…

どうして…?


アズは、かなり緊張。車はもう30分近く走っている。


『…あ!』

「!」

アズが叫んだので、秀はビックリしていた。

「…どうした?」

『私…パジャマだし…何も持ってきてない…』

この格好で外を歩くのは…

アズは、焦ってパニック。
すると、秀は落ち着いた表情のまま運転手に言った。

「…家に行く前に、いつもの店に寄ってくれ」

「かしこまりました」

すると、運転手は右に曲がり、家とは反対方向へ。

『?』

アズは、再び外を見てる秀の横顔を見ていた。






そして、着いたのは高級店が並ぶ通りの、ちょうど真ん中辺り。
ひときわ、高級感がある店。

「降りるぞ」

『…へ?』

アズは、格好に不釣り合いな、唯一持ってきたスニーカーを履いている途中で、秀に手を引かれ店内へ。



「いらっしゃいませ〜」

店内の一番大人っぽくて美人な店員が、秀の存在に気づくと、その場にいたお客さんを他の店員に任せて秀の元へ。
カツカツとヒールの音が2人に近づく…。

「いらっしゃいませ。高柴様…今日は何をお求めですか?」

アズは、大人の女オーラ全開の店員に一歩後ずさり。
名札を見ると、肩書きはオーナーだった。

「この女に服を一式。あと靴も」

『…きゃっ…』

アズは、生け贄のように秀に前に差し出されたので、思わず小さな悲鳴がもれた。
すると、オーナーがジッと見てくるので怯えた。

「…頼んでいいか?」

秀の一言で、オーナーはニッコリ。

「…もちろんですわ。お任せ下さい」

『………。』

意味がわからず、高級店に緊張しているアズをよそに、秀はソファーに座りくつろいでいた。

「…では、こちらへ」

オーナーが案内する方へアズは言われるままに歩いた。
2階に行くと、そこは明らかにVIPルーム。

わ…私…明らかに場違い。

「…まず、サイズを測りましょ。下着になって下さい」

オーナーが笑顔で言った。アズは、

『…パ…パンツしか履いてないです…』

テレて、ちょっともじもじしながら言った。
すると、オーナーはアズに近づき…

「じゃあ、脱いじゃいましょ」

『!』

笑顔で、3人の女の人にパジャマを脱がされ、スニーカーも脱がされ…。パンツだけになった。

た…助けてー…!

半泣きのアズなんてお構い無しに、テキパキと仕事を続けるオーナー。






「ごめんなさいね…あまり小さいサイズの服はなくて…」

『いえ…』

可愛い…
てか、大人っぽい…。

オーナーはアズに黒のワンピースを着せてくれた…。
肩のヒモがリボンで、ウェストがキュッと見える、膝上のワンピ。

「…ちょっと大人っぽすぎるわね」

『…はい』

オーナーの言葉にしゅんとしたアズ。
秀は、きっと大人っぽい方が…と思った。
アズが、落ち込んだのを見てクスクス笑うオーナー。

「あら…いいことよ?大人にはいずれなれるけど…可愛い服なんて、若いうちしか着れないんだから…」

『!』

そう言うとオーナーは、薄ピンクのフリル付きワンピースタイプのドレスを持ってきてくれた。
肩ヒモは幅があり、首の後ろで結ぶタイプ。背中は半分まで見えるけど、結んだヒモでほとんど隠れている。

『可愛い…』

アズが着てクルッと回ると、スカート部分がふわっと浮く。

『あはっ…』

アズが楽しそうに笑うのを見て、オーナーも笑った。

「本当、可愛いわね。靴も履いてみて。ヒールもそんなに高くないから、疲れないと思うわ」

オーナーが持ってきたのは、白いミュール。シルバーと宝石の付いた蝶々がアクセント。

『可愛い…』

笑顔全開で喜ぶアズ。





[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!