[携帯モード] [URL送信]

Cross Road
正直な話(梓)




アズは理沙にすべてを話した。
軽蔑されることも覚悟して…。



高柴くんが好きだったこと…


…流されながらも抱かれたこと…


そして…



…捨てられた…こと。




南くんに…無理やり…

…嫌だと思いながらも拒絶できなかったこと…

そして、
自分が許せないこと…。



理沙は、最後まで黙って聞いてくれた。
アズは、泣きながらすべてを話した。南野の話をする時は、昨日のコトを思い出し、鳥肌と身震いがした。

理沙の顔は、怖くてみれなかったアズ。



『だから学校には行きたくない…怖い…』

「………。」

『………。』

アズの話が終わると、シーンと静まり返る部屋。

最初に口を開いたのは理沙。

「…なんで…」

『!』

理沙はプルプルと怒りで震えながら、テーブルをひっくり返しそうな勢いで立ち上がり、アズを怒鳴った。

「なんで今まで言わなかったの!?」

『…ご…ごめ…』

「謝るなっ!」

『…ごっ…は…はい』

うさぎのように小さく丸まり、怯えるアズ。理沙は、容赦ナシ。


「…だから…高柴秀はやめろって言ったじゃん」

『…うん』

「………。」

『………。』

「…そんなに好きなの?」

理沙が、アズの前に座りながらタメ息まじりに言った。

アズは、黙ったまま…うなずいた。


「…そんなヒドいことされても?」

『…うん…でも、今は…わかんない』

「学校は?どーすんの?南野のことは?」

『…行くよ…いつか。今は行きたくないし、何もしたくない。誰にも…知られたくない…』


…アズのされたことを思えば、当然だ…と思い何も言えない理沙。

「…バカアズ!」

髪の毛をもじゃもじゃにされた。いつもより力が入っていて、いつもの倍痛い。

『…いたた…っ…』

「何も言わないから心配してたんだから!」

髪の毛のすき間から、涙目の理沙が見えた。
アズは、言わないことで理沙がどれだけ心配して、言ったことでどれだけ安心してるかがわかって、嬉しかった。

『ありがとう…理沙ちゃん』







「南野…あいつ、前からアズのことヤラシー目で見てたけど…まさか…許せない」

アズが、理沙にジュースとお菓子を持ってきた。

『南…くんが…?』

アズは、名前を口にするのが嫌だった。気持ち悪かった。
その様子に気づいた理沙が、慌てて言った。

「…思い出さなくていいから!…何も…」

理沙が手をギュッて握ると、不思議と大丈夫…と思えたアズ。

力なく笑うアズを見て、理沙は迷いつつも、秀から預かった携帯を手にした。

「コレ…アズにって…」

『?』

理沙は、秀の意図がまったくわからなかったので、渡さないつもりだったが、アズの秀に対する気持ちを知って、決心が揺らいだ。
使うか捨てるかは、アズに決めさせようと…差し出した。
受け取ったアズ。

「…高柴秀が…アズに…」

『!』

アズは、秀からと聞いてかなり驚いた。

高柴くんが…?何で…!?

電源を入れると、携帯メモリーが1件だけ。
それは、誰もが欲しがる…秀の携帯番号とアドレス。

「…ごめん…って。なんかあったら連絡くれ…って。なんか、いつもの印象と違って調子狂っちゃった」

『…そう…』

アズは、とりあえず充電しようと、携帯をベットの充電器へ。
機種は違うけど、充電器は使えた。




「ただいまー!」

1階から母の元気な声。
そのまま2階のアズの部屋へ向かって歩いている。
階段をトントントン…。

「誰か来てるの?」

母が部屋に入ってきた。

『ノックしてよ!』

「おじゃましてまーす」

怒るアズの隣で、笑顔の理沙。
母は、理沙のことが結構お気に入り。

「あら。理沙ちゃん、いらっしゃい。学校帰りに来たの?」

「…はい。久しぶりに来たくなって。アズと一緒に」

『!』

理沙の口裏合わせ。アズは学校に行ったことになった。
アズは理沙に感謝。

「あ、せっかくだから夕飯食べてく?」

「…ぜひ!」





[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!