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Cross Road
登校拒否(梓)




わかってた…

好きになったって…

どうしようもない人を好きになったってこと…。


きっと…

もう関わりたくもないから…

わからせようとして…。







ピピピピピッ…という目覚まし時計の音で目が覚めた。
朝方になってやっと眠れたのに、すぐ起きることになって…低血圧のアズは、起き上がれずにいた。




「梓!遅刻するわよ!」

何分かすると、母親が起こしにきた。

『…ムリ。起きれない』

アズは、布団に潜った。母はタメ息。

「また低血圧?もう…」

『………。』

「…じゃ、学校には遅刻するって連絡しとくわ。あとお母さん仕事行くからね!鍵閉めて行きなさいよ」

『…うん』

母はアズの部屋を出ると、そのまま仕事に向かったようだ。


妹はとっくに学校に行っていた。
家に1人きり。

『………。』

アズは、再び眠りについた。学校へ行く気なんて、まったくなかった。

今は、南野とも秀とも会いたくなかった。

何も考えたくなかったし、全部忘れたかった。








携帯のバイブが鳴った。マナーモードにしたままだった。
アズは、またやっと寝たのに起こされた。
眠くてなかなか開かない目で携帯を取る。

メールは、何件も届いていた。知らないアドレスから…。

メールを開いたアズは、絶句。思わず携帯を落とした。

『……や…』

頭を抱え、怯えるアズ。
メールは、南野からだった。


《Subject:やっほー。
今日、学校来ないつもり?それでもいいけど…そしたら放課後、お友達と行くから。待っててね〜!あと、俺のアド登録しといて。南野》


…他にも3件。あとは、理沙からの心配メール。


家に…

だって…お母さんも…誰もいないのに…。


家を知られたら、もう安心できる場所なんてない…。


アズは、休み時間の時に理沙に電話した。



「…はいはーい、どーしたの?ア…」

『私からだって言わないで!お願い…』

アズは名前を呼ばれる前に、電話に向かって叫んだ。
電話口で泣くアズに、理沙はビックリしていた。

「…何があったの?」

『理沙ちゃん…』

アズは、理沙には何も知られたくなかったが、そうもいかない状況なので…

『助けて…』

理沙に助けを求めた。









放課後の時間になると、ピンポーン…と、誰かが来たようだ。インターホンで出るアズ。

『…はい』

「アズ?理沙。ちゃんと1人で来たよ」

映像で理沙を確認するとホッとしたアズは、腰が抜け、その場に座り込んだ。







「おじゃましまーす!」

『どーぞ』

アズは、理沙を部屋に案内する。


「久しぶり〜。アズの家。てか、アズ…何で制服?」

アズは部屋のドアを開けると、理沙を先に部屋へ。
理沙は、学校に来なかったアズがなぜ制服なのか不思議そう。

『学校に行ったことにしないと…お母さんが…ね』

理沙がベットに座ると、アズは小さくて丸いテーブルの前の床に体育座り。

『………。』

「…とりあえず、アズの家には私が行くから…ってみんなに言っておいたから。他には誰も来ないよ」

『…うん。ありがとう』

あまり多くを話したがらないアズ。


「…別に、無理には聞かないけど…」

『………。』

「明日は学校来る?」

アズは無言のまま小さく丸まり、首を横に振った。


『行きたくない…』

「どうして?」

『……言えない…』

アズの声が少し震えた。
泣いてしまった。理沙には気づかれないようにしたかったが、理沙は泣いているのに気づいていた。

『言ったら…理沙ちゃん…私のこと軽蔑する…嫌いになるもん』


理沙ちゃんの嫌いな高柴くんに…

あんな風に抱かれて…

南野くんにまで体を許したなんて…。



泣きじゃくるアズに優しい理沙の言葉。頭を撫でてくれた。

「アズはアズだもん。嫌いになんかならないよ…」

手首から理沙の優しい匂い…甘い匂いの香水の香り。その香りが、アズの心を落ち着かせてくれた。





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