[携帯モード] [URL送信]

Cross Road
聞けない命令(梓)



『…きゃ…!』

秀は、いきなりアズのスカートの中に手をはわせた。
そして、パンツを触った。

…あ…バレちゃ…っ!

アズは慌てて手を払いのけたが…時すでに遅し。秀は、アズが生理でないことを確認したようだ。


「…普通じゃん」

秀は相変わらず無表情だった。そして、死んだような目。

『…あ…』

アズは、怖くなった…。本当に怖くて、体がまったく動かなかった。
すると、秀が見下しながら言った。

「…脱げ」

『…えっ…?』

アズが聞き返すと、秀はイスに戻りながら言った。

「脱げって言ったんだ」

『……そんな…』

秀はイスに座るとアズをジッとにらみつけていた。
アズは、できない…と首を横に振る。

…そんな恥ずかしいコト…できないよ。


「お前に断る権利なんかねぇんだよ!」

『!』

アズは、秀の怒鳴り声にビクッと怯えた。

…怖い…。

昨日以上に冷たい秀に、アズは泣きそうになった。

そして、昨日のように優しくなることは絶対ナイと思ったアズ。


『…っ…』

顔を真っ赤にしながらネクタイを外し、ブラウスのボタンを1つ1つ外した。

嘘ついて…

待たせて…

怒らせたのは私だもん…

仕方ない…と恥ずかしさと、これで最後…という虚しさと格闘しながら、アズはブラウスを脱ぎ、スカートも床に落ちた。
今日は、上下薄紫の下着。

恥ずかしくて、秀を直視できなかったが、視線は感じた。


「…何してる…?」

アズは、手で肌を少しでも隠そうとしていた。

「全部だ…全部脱げ」

『!』

アズは、目を見開いて驚いた。

『そ…それだけは…』

アズは、これ以上は無理だと言おうとしたが、秀の方が早かった。

「やれ!」

微動だにせず、秀はアズを見ている…。

そんな…

これ以上なんて…


しかし、アズは秀の怒りをこれ以上あおりたくなかったので、遠くからでもわかる震えた手で、ブラのホックに手をかけた。

ホックをなんとか外したものの、あまりにも秀がジッと見ているので、なかなかブラを胸から離すことはできなかった。


「………。」

秀の視線は痛いほど感じた。
でも、震えた手はこれ以上動かない…。



『ご…ごめんなさ…これ以上は…できな…っ』

アズは、涙がポロッと流れた。全身が震えて…もう動かない。
しかし、足の力は抜けたアズは、床にペタン…と座った。


秀がイスから立ち上がり、アズの元へ。
アズの腕をつかむと、グイッと無理やり引っ張り、長イスの上にヒザ立ちにさせ、壁に手をつかせ、後ろ向きにさせた。振り回された衝撃でブラは落ちた。

『…っ…!』

アズは、昨日の1回目と同じように抱かれるんだ…と確信した。

でも、逃げようとは思わなかった。怖いけど…逃げても同じだと思った。


待たせたから…

怒るのだって…当たり前…

だから…


『…あっ!』

アズのパンツを太ももの中間くらいまで下げた秀は、強引に突っ込んだ。

…痛…っ…。

アズは、泣き叫びそうな声を必死に抑えた。

ダメ…声なんか出しちゃ…

きっと余計に…怒るから。


『…っ…はぁ…っ』

目が潤んだが、涙は流れなかった…。

ただ…ただ…虚しかった。

死んだ目と感情に抱かれることが…。








それから…


痛いとも…嫌だとも…

1回も言わずに…


高柴くんに抱かれ続けた。


…高柴くんの怒りが治まるまで…。




…これが…最後…。









気がつくと、灰になったようにボーッと長イスに座っていたアズ。

『………。』

「………。」

秀は、一度もアズを見ることなく、準備室から出ていった。

シーンとした小さな部屋に1人きり。

『…っ…ぅ…』

アズは、小さく丸まって…声を出さないように泣いた。

これで…高柴くんとの接点…

なくなっちゃった…。


こんな最後になるなんて…。



[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!