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Cross Road
我慢の限界(秀)




アズが…こっちを見ない…

…まぁいい…

どうせそのうち体がうずいて、

どーしようもなくなれば…

アズは俺にすがるしかないんだ…。


この3日間、1度もアズと目が合わなかった。




「シュウ様〜、今日…放課後ヒマ?」

『…あぁ』

「じゃあ…しよ?」

昼休み。クラスメイトの麗子が秀を誘った。
秀は、クスッと笑いOKした。
俺もなんか誰かとヤリたいし。

『あぁ…放課後…な』

そんなやりとりをしていると、アズが教室に戻ってきた。すると…


「アズちゃ〜ん…!」

「…きゃ…っ!」

クラスメイトの男子に後ろから抱きつかれ、そのまま抱き上げられていた。

「な…何?やめ…」

アズは完璧にからかわれている。
秀は、窓ぎわから見たその様子にイライラした。

勝手なことすんなよ…!

「何してんの!?」

「やべっ!デコだ」

理沙が来た。

「だって、アズちゃん見てるとからかいたくなるんだよ。ちまちまして可愛いじゃん」

「だからって…やりすぎでしょ!」

「わかっ…悪かったってデコ…以後、気をつけます」

「行こ。アズ」

「…うん」

理沙はアズの手を引っ張りながら、教室を出ていった。


「怖ぇ〜」

「お前、やりすぎなんだよ!」

まだアズのことで笑いあってるクラスメイト。



『…うるさいよ。お前』

「…ぇ…?」

秀は、アズに抱きついた男子を殴り飛ばした。
フッ飛んだ男子=佐藤は、机に顔をぶつけ、口の中が切れた。

「…って…」

『俺の休憩時間…邪魔すんな』

2発目。今度は胸ぐらをつかんでいたので、フッ飛びはしなかったが、何度でも殴られそうな体勢。
クラスメイトは、秀の恐ろしさに、みんな他人のフリをした。


そこに、ちょうど戻ってきた裕貴。

「…秀っ!?」

裕貴は、笑いながら佐藤を殴る秀を、無理やり佐藤から引き離した。

「何してんだよ!落ち着け。バカ!」








教室は静まり返っていた。

「…ってか、お前どーしたんだよ。イラついてんぞ?最近」

少し落ち着いた秀に、裕貴が言った。
秀は、淡々と答えた。

『…別に』

タメ息をつく裕貴。
そこへ、アズと理沙が戻ってきた。


「佐藤くん?それ…どーしたの?」

アズが佐藤の心配をするのがおもしろくない秀。

しかし、佐藤が無言で逃げると思わず、クスクス笑ってしまった。


アズは明らかに秀が笑ったのに気づいていた。
秀は、アズが振り返るかと思ったが、アズは振り返らなかった。

いい加減…こっち見ろ…。








「た…高柴くん!」

帰ろうとする秀に、アズが声をかけた…。

久しぶりの声…でも…

何でこっちを見ない。

『……何?』

冷たい言い方をする秀。アズは怯えながら言った。

「き…聞きたいことが…」

アズがそこまで言うと、秀は、

『…だって。悪ぃな』

「え〜!?じゃあ…また…明日?」

アズが…

ヤリたくなったなら…そっち優先だから…。

『あぁ…明日』

「じゃあ、我慢する〜。バイバイ」

思わずニヤけそうになった秀だが、無表情で麗子が去るのを確認してから言った。

『…ついて来い』

「!」

秀が、理科準備室に向かって歩きだした。パタパタと追いかけるアズ。

アズ…

結局、お前は俺が…

欲しくて欲しくてたまらなくなりつつあるんだ…。

そう思うと、自然と顔がニヤけた。
それを必死に隠そうと、無表情に徹する秀。

でも…何でこんなにもアズのことが…。

自分の気持ちの変化になんかまったく気づかない秀。

スタスタと足早に歩く。









『…どーぞ』

ドアを開けた部屋は、理科準備室。普段、誰も立ち寄らない場所。
アズは、導かれるままに先に中に入った。

…さぁ…楽しもうか…アズ。





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