[携帯モード] [URL送信]

Cross Road
水川 麗子(梓)




『…っ…!!!!!』

高柴くんと…麗子ちゃん!?

…半分制服の脱げかけた秀にほぼ裸の麗子。地面にジャージが捨てたように置いてある。
2人が激しく抱き合うのを目撃…。

慌てて壁の陰に隠れた。


な…何で2人が…


「あぁ…ん、シュウ様ぁ」


…なんて

…エッチな猫なで声。



アズは、胸が痛んだ。


「…シュウ様っ…イク…イッちゃうよぉ…!」

「…勝手にしろ…っ…」

「いっ…一緒に来てぇ」


アズは、麗子の声がするたび、息をするのが苦しいほど胸がズキッとした。

…嫌…

なんで…
私に触ったばっかりの手で…


唇で…



他の人に触るの…!?


触れるの…?



わかんない…

わかんないよ…。




アズは泣きながらその場を去った。
体育倉庫へは、遠回りをすることにした。

もう…見たくない。

聞きたくない。



誰でもいいって…

あれ…本当だったんだ。









アズが更衣室に戻ると、みんなはほぼ着替え終わり、クラスの女子はほとんどいない。


「アズ、おっそーい!」

『理沙ちゃん…!』

制服姿の理沙。
理沙が待っているとは思わなかったアズ。
慌てて笑顔を繕った。

『ごめん。今着替える』

「…アズ?」

いつもと違う笑顔に、理沙は心配そうにアズを見た。
…瞬間、

「…あーぁ、ジャージ汚れちゃった…」

『!』

ガチャッとドアを開けて入ってきたのは、麗子だった。
アズは、硬直した。

麗子ちゃん…

顔を見たら…さっき見たのを全部思い出しそうで見れないアズ…。


「あれ?麗子…体育のときいなくなかった?」

「まぁ…ちょっとね〜」

理沙が聞くと、テンション高めに笑いながら答える麗子。

アズは急いで着替えた。


今は…麗子ちゃんのそばにいたくない…

そう思ったアズは、ジャージを乱暴に脱ぎ、ブラウスを手に取った。



「ア…アズ…?」

『何?』

理沙が、アズの首筋を見て指差しながら驚いている。

『!』

あ…忘れてた…!

慌ててブラウスを着て、キスマークを隠した。
理沙が、見間違いだと思ってくれればいーなー…と淡い期待をして、理沙をチラ見する。


…無理だ…バレてる…。

開いた口が閉じない理沙。パクパクしている。
だが、声を振り絞った。


「…キ…キスマーク…なんていつの間に!?」

「え…?アズちゃんが!?」

麗子も食い付いてきた。

これ…キスマークってゆーんだ…。

『…違うよ!そんなんじゃ…ないもん』

なるべく麗子の視線を避けつつ、着替えたアズ。

「アズが…アズがぁ…汚(ケガ)されたぁ〜っ」

半泣きの理沙。アズは、理沙の態度が恥ずかしくて顔が赤くなる。
すると、興味本位で麗子が聞いた。

「ねぇ、相手は?この学校の人?」

『えっ…』

いきなりの質問に、思わず麗子の顔を見てしまったアズ。

さっきの出来事がフラッシュバック。



『…っ…し…知らない』

慌てて、目をそらして更衣室を出た。
理沙もアズの後を追った。

「知らない人にやられたの!?その男…ブッ飛ばす!」

理沙は声がデカい。校舎中に響いたような気のしたアズは、慌てて理沙をなだめた。

『ちっ…違うから…静かにして』

「じゃあ何?ちゃんと説明しなさい!」

『………。』


説明って言われても…

高柴くんのことなんて…

理沙ちゃんには言えないよ…。



理沙は秀があまり好きではなく、いつも…

「あんな男に引っ掛かっちゃダメだからね」

と言っていた。そんな理沙に言えるわけもなく…アズは困惑した。





『…今は…言えない』

「!?」

『私自身が、よくわかんないから…』

アズと理沙は歩きながら話していた。

『だから、言えるときが来たら…理沙ちゃんに最初に言うから』

「………。」

『それじゃ…ダメ?』

上目遣いで申し訳なさそうに言うアズ。理沙は、その可愛さにノックアウト寸前。

「……わかった」

渋々、納得してくれた。




[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!