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Cross Road
交わる(梓)



アズは、とりあえずよく通る帰り道を秀と歩いた。
ペースはアズに合わせてくれていた。
微妙な距離が2人の間にあった。

なんか不思議な感じがしてたまらなかった。

高柴くんが…隣を歩いてる…。




「…手とか…握る?」

『!!!!!!』

秀が突然思いついたように言った。
かなりビックリしたアズは、一歩後ずさり。

『い…いい!恥ずかしいから』

高柴くんと手を…?

想像しただけで鼻血が出そうだ。

「…でも、普通はするだろ」

『そうかな…?』

「俺もまともに付き合うの初めてだからわかんないけど…」

『…え!?私達って、付き合って…るの?』

「!」

アズの言葉に、かなりヘコんだ様子の秀。
ちょっと悪いことをした気分になった。

「じゃあ…ちゃんと言う!」

『え…?』

秀が正面を向いた。

「梓、好きだ。付き合ってください」

『!』

真顔で秀が言った。アズは、秀が真剣すぎて恥ずかしかった。

…なんて答えれば…?

色々考えていると、目線が泳いだ。

『あの…』

「アズ…毎日会えなくても、俺は平気だ」

『!』

「待つのは…失うより全然つらくない。待てる。アズのコト想うだけで幸せなんだ」

秀が…アズの欲しかった「待てる」という言葉を初めてくれた。

アズは、秀に近よって、

『かがんで…?』

秀に目線の高さを合わせるように頼んだ。
秀がかがむと、アズは…

『大好き…』

「!」

秀の耳元でささやいた。
そして、アズはすぐに短いキスをした。

『会いに来てくれてありがとう…嬉しい』

「アズ…」

『私、高柴くんを…信じるから…裏切らないでね』

アズが笑顔で言うと、秀はキスをした。
優しく抱きしめて、激しいキス。


『…ん…っ』

「ハァ…」

秀の吐息にたまらなく気持ちが高ぶったアズ。

『ま…待って…』

「?」

一旦キスを止めると、アズはバックから…秀にもらったネックレスを出した。

『高柴くんが…つけて』

「!」

『そしたら…外さない。見るたびに高柴くんを思い出せるもん』

秀は、笑顔で手に取り…首に手を回して、ネックレスをつけてくれた。

「絶対似合うよ」



『ありがとう…』

アズは嬉しそうに星のネックレスをながめた。
すると、秀がクスクス笑った。

『?』

「アズのありがとうって…心が穏やかになる。魔法みたいだ」

アズはちょっとテレた。意識してありがとうを言ったことなんてなかった。

「もう一つ…魔法の言葉があるんだけど」

『…何?』

「名前…呼んで」

『!』

「呼び捨てで。秀…って」

『そ…それは無理』

アズが真っ赤になって首を横に振ると、チッ…と舌打ちした秀。
だが、すぐに開き直った。

「今は呼んでくれなくてもいい。絶対呼ばせるから…」

『?』

「これからベットの中で…何度も…あきるほど」

『!』

アズは、火が出そうなほど顔が真っ赤になった。
秀はイジ悪な笑い方をした。

『絶対言わないもん!』

ムキになって反論した。
ちょっと怒って先をスタスタ歩くと、

「待てって」

秀が後ろから小走りで追いかけてきた。

『…!』

そして、アズの手を握った。

アズは不機嫌にうつむいた。

…フリをして笑った。
幸せなんだと思えた。

さっき…逃げなくてよかった。

向き合えば…思ったことがちゃんと言えた。





交わる手と手。


すれ違ってた想いと想いも…



ようやくクロスした。



【END】


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あきゅろす。
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