[携帯モード] [URL送信]

Cross Road
バーベキュー(梓)




「やっぱり…会いたい?」

理沙が、聞いていいのか迷ったように聞いた。

『…わかんない』

アズも正直に答えた。

『もう…会わないつもりだったんだけど……時々、ふと思い出すの』

アズはケースのふたを閉じて、そのままテーブルに置いた。

『自分から離れたんだから…淋しいとか…思っちゃいけないんだけど…』

しかし、再びケースを手に取り星のネックレスを見た。

『会いたい…のかも知れない…』












「じゃあ、父さん行ってくるな。今日はバーベキューだったな…」

玄関まで父を見送るアズ。お弁当を手渡し。

『うん。理沙ちゃんも連れて行く。行きたいって言うし』

「そうか…楽しんでおいで。遅くなるときは連絡しなさい」

『はーい。いってらっしゃい』

「いってきます」







「今日だね。バーベキュー!」

2人は朝食を食べていた。アズ以上に楽しそうな理沙。

『何でそんなに楽しそうなの?新堂くんはいーの?』

「!」

冗談半分でアズが裕貴の名前を出すと、ムッとした理沙。

「あんなやつ知らない」

『…え?』

理沙は色々ため込んでいたようで、キレた。

「だって夏休みだよ!今」

『…う…うん』

「夏休みなのに…裕貴バイトみっちり入れて…遊ぶ暇ない…って!しかも、リゾバ!ムカツク〜!」

『そっか…じゃあ、つまんないね』

「!」

淋しがってるとアズに思われたのが不服らしく、強がる理沙。

「ぜんぜーん!あたしだって忙しいも〜ん。」











『前の学校の友達の…』

「理沙で〜す。初めまして。たまたま遊びに来てて…来ちゃいました」

海辺の明菜の家でのバーベキュー。参加メンバーはほとんど集まっていた。
アズが紹介するより先に理沙は自己紹介をした。


「お!めっちゃかわいい」

大輔が理沙を見て言うと、ちょっとムッとした表情の深雪。
しかし実際、理沙はショートパンツが似合っていて可愛い。

「ありがと〜。えーっと…?」

「ん?あぁ、俺は大輔。よろしく。アズちゃんのお隣サンなんだ…席が」

「よろしく〜大輔クン」


ノリのいい理沙は、次々と色々な人と打ち解ける。
アズなんて、お構いナシに好き勝手に歩き回っていた。


「あのコ…大輔になれなれし過ぎない?」

アズが1人のときに深雪がコソッと言った。

『理沙ちゃん?理沙ちゃんは…誰にでもあんな感じだから』

「かわいいとか…私、1回も言われたことないし」

深雪がちょっとヘコんでいるので、アズは慌てて言った。

『大丈夫!理沙ちゃん、彼氏いるし』

「そーなの?」

『うん』

深雪はちょっとホッとしたようだ。
そして、メンバーを見渡したアズが…

『あれ?児島くんは?』

竜二がいないことに気づいた。

「あぁ…さっき追加の飲み物買いに」

『ふーん…』








『あ!みーっけ』

「!」

買い物を済ませた竜二が、防波堤の裏の砂浜でタバコを吹かしていた。(※未成年はいけません)
アズが上からのぞき込むとビックリしていた。

『ダメだよ。未成年じゃん。成長止まるよ?』

アズは竜二の横に降りて座った。

「別に、もう成長しなくていーし」

『ダメだって!周りにいる人に迷惑なんだよ?』

「?」

『私の成長が止まったら困るもん!』

そう言ってアズが竜二のタバコを奪うと、放心状態で固まっている竜二。

『まだまだ成長したいんだから、私が近くにいるときはやめてよ』

アズがタバコの火を砂で消していると、フリーズ状態から動き出した竜二が爆笑。

「…ぶ…あははっ」

『!』

初めて大笑いをする竜二を見て、ビックリして…ちょっとドキドキしたアズ。

竜二を見つめてしまった。
すると、笑いが治まってきた竜二もアズを見た。

『!』

目が合ったアズと竜二は、ちょっと見つめ合う。


何…?この状態…。

アズが戸惑っていると、竜二がクスッと笑った。

「あんた…おもしろいな」





[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!