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Cross Road
夏休み到来(梓)




『あ、いた!』

「!」

昼休み、体育館で1人でバスケットボールで遊んでいる竜二を見つけたアズ。
声をかけられて驚いた竜二は、ドリブルを止めた。

『授業終わったらすぐいなくなるから探した』

「…何の用?」

ボールをその場に置いてステージに座る竜二。
アズはボールを手に取り、シュートしてみた。

『夏休みのバーベキューの話…聞いた?』

「………。」

シュートは入らずに枠で跳ね返り、ステージの方へ。
ボールを追いかけたアズだったが、竜二が先にとった。

アズがもらいに行くと、竜二がステージから降りてアズの目の前に立った。

竜二の身長は思ったよりも高めで、アズは見上げなければなかった。
でも、秀よりは低い。

「…誰に頼まれた?」

アズに顔をグッと近づける竜二。ジッと見られたアズは、ちょっと動揺した。

『…へ?あ…えーっと…明奈ちゃん』

「ふーん…」

竜二は、そう言うとボールを指でクルクル回しながら、アズには渡さず、また1人でシュートをし始めた。

『………。』

「………。」

『でも…』

アズは、竜二の方を見た。
竜二は相変わらず、シュートをしてはボールを拾っていた。

『私も来て欲しいな……クラスで一番わかんないの…児島くんだし』

「!」

竜二は振り返ってアズを見たが、アズはもう出口に向かって歩いていた。







「アズちゃ〜ん、竜二いた?どーだった?」

教室に戻ると、明奈がウキウキしながら聞いてきた。

『あー…うん。誘っては…みたよ』

「それで?それで?」

『えーっと…』

返事をまったく聞かずに来てしまったアズは、どう答えたらいいか考えていた。

すると、

「竜二…」

明奈がアズの後ろの方を見て言った。
振り返ったアズは、竜二と目が合ったが、竜二はアズを通り過ぎ、明奈の元へ。

「明奈…」

「な…何!?」

明奈は、いきなりのことで動揺していた。

「バーベキュー…俺も行くから。よろしくな」

『「!」』

これにはクラス中がビックリ。
アズが竜二を見て、目が合うと、竜二は…かすかに笑った。


「アズちゃ〜ん!」

すると、すぐ明奈が抱きついてきたので笑顔らしきものは一瞬しか見えなかった。

「竜二…来るって!ありがと〜!」

とりあえず、明奈が大喜びなのでホッとした。












『あ、理沙ちゃーん』

アズは空港で大きく手を振った。
テストも終わり、夏休みになると、同じく夏休みになった理沙が訪ねてきた。

「アズ!久しぶり」

キャリーバックをゴロゴロ引きずりながら理沙が小走り。

『こんな早く来なくても…』

「だって、暇なんだも〜ん。こっちも来てみたかったし」

アズと理沙は2人で空港を歩きながら話した。

『とりあえず、お父さん来てくれてるから、一旦家に行こ』

「うん」










「へぇ、結構いーとこじゃん」

『…でしょ?』

アズの部屋へ案内。
アズの家は、マンションの5階。父はどーやら定住するつもりらしく、購入した。
3LDKらしい。

広いにこしたことはない…だそう。
アズの部屋は8畳だ。


『…みんな…元気?』

アズが言うと、理沙はアズのベットに座りながら言った。

「うん…みんな超驚いてた」

『そっか…』

アズは、ちょっと申し訳なくて笑った。

「高柴秀がね…」

『!』

理沙が用心しながら言った名前に、アズは反応した。

「アズが行っちゃった日…空港まで追いかけたみたい」

アズは、言い表わせないほど動揺していたが、平静なフリをした。

『そう…なんだ』

「うん…でね…」

理沙がバックを開けて、中身をあさる。

「これ…アズにって」

深い青の細長いケース。

『………。』

アズは無言で受け取って開けると、そこには…秀が初めてくれたプレゼントの…星のネックレスがあった。

『あ…』

「あいつ…最近、別人だよ。家の…会社の仕事手伝ってるって」

『…え?』

「裕貴に聞いた話なんだけど………自分のお金でアズに会いに行きたいからなんだって」

『!』




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あきゅろす。
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