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Cross Road
見せつけ(秀)






『純花…婚約は延期しないか?』

床にまで転がっていた2人。秀はソファーに座りながら言った。
純花も慌てて起き上がる。

「え…?何で!?」

『お前とは今の関係がいい』

「?」

純花も秀の隣に座った。

『体の相性は…イイし』

秀がクスッと笑いながら言うと、純花は嬉しそう。

「それは嬉しいけど…会えなくなるのは嫌」

秀の腕にしがみつく。

『会えるだろ…その気になればいつだって』

秀は腕をそっと抜き、立ち上がった。

「…ん〜…わかった。確かに純花、まだ結婚はしたくないし」

秀は窓から外を見ていた。今日は満月…月明かりに浮かぶ秀の体のシルエット。

『じゃあ、決まりだな』









『…別にいいのに』

秀は、純花の家の車で学校まで送ってもらうことに。

「いいじゃん。ドライブだよ。あ!純花ね、免許取ったから今度は純花がどこか連れてってあげるね」

朝から純花は元気がいい。
秀はちょっとうんざりしている。

『…あぁ』



純花がほぼ一方的に話しているうちに、学校についた。
秀はドアを開けて車から降りる。すると、女子が振り向く。

「キャー!秀様ぁ」
「カッコイイ〜っ」

秀は振り返り、純花にお礼を言った。

『じゃあな…また』

そして、ドアを閉めると窓が開いた。
そこから顔を出した純花。

「スゴイ人気だね…純花、こんなことしたいって言ったら殺されそう…」

『…何?』

めんどくさそうに秀は、純花を見た。
純花は満面の笑顔。

「チューして!」

『…は?』

「だから…またね☆のチューして」

『………。』

秀は困りながら、遠くを見ようとしたら、視線の先にアズがいた。
目線が確かに合った。

すると秀は、すぐに視線を純花に向けて…2人は窓越しにキスをした。

「嫌ぁ〜秀様ぁ」
「誰?あの女」

周りにいた女の子達の悲痛な叫び。
秀はわざとアズに見せつけた。

『…これで満足?』

秀はクスッと純花に笑いかけた。

「うん…バイバイ」

純花は満足気。車の窓を閉めながら手を振っていた。
そして、車は走っていった。

見てたか…アズ。

アズが視線をそらしているのを見て、なんだか気分が良い秀。

秀が校舎に向かって歩くと、ちょっと遠巻きに女子もぞろぞろと大移動。










…眠い。

1時間目の授業中、メールを送った。

《Subject:無題
次の時間、教室に残れ》

もちろんアズ宛て。
アズは携帯を見たが返信しては来なかった。

…返せよ…。

ムッとしながらも、眠いので寝ようとする秀。


「…なぁ、秀」

すると前の席の裕貴が話しかけてくる。
眠いので机に頭をつけたままの秀。

『何だよ!?』

「…いや…怒るなよ?」

『だから何だよ!?』

裕貴はなぜかためらいがち。意を決して言った。

「アズちゃん…最近、更に可愛くなったよな〜」

『…は?てめ…どーゆーつもりだ!?』

胸ぐらをつかまれ、ちょっとビビる裕貴。

「わー!だから怒るなよ!そう思ってるの俺だけじゃねーよ」

『………。』

アズが…!?

あいつスキだらけだからな…

…ヤバいな。

秀の顔色をうかがいながら、裕貴が言った。

「てか、俺は変な感情はないけど、他のヤツらはわかんねぇから…気をつけろよ」

『…わかってるよ…』

「いや…お前はわかってない。あんまり気持ち試すようなコトするなよ…大事にしないと、気持ちがあったってダメなんだよ」

『………。』

裕貴に言われたことに、何も反論できない秀は、ふて寝。


俺がもっとアズを信じればいい…

でも、アズは誰にでも優しくするから…

不安なんだ。


だから、嫉妬を感じるときだけ…

好きだって思ってくれてる…って実感がわくんだ。


その感覚が…やみつきなんだ。



秀は、そのまま本気で寝てしまっていた。





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あきゅろす。
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