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Cross Road
再会(梓)



「いらっしゃいませ〜」

喫茶店に着いたアズは、窓際の奥の席に座って紅茶を頼んだ。

そしてポケットに入れた2つの携帯のうち、自分の携帯をテーブルに出した。

『?』

すると、携帯に着信アリ。詳しく見ると、着信は知らない番号から。

アズはなんとなく恭平からな気がした。

…どーしよ。

かけるべきかな…。

迷ったアズは、知らない番号だから無視した…ということにした。


すると、

『!』

テーブルに携帯を置いた瞬間、携帯が鳴った。
見てみると、着信はさっきと同じ番号。

出ないのも…変かな。

『…はい』

とりあえず電話に出た。

「あ…俺、恭平…です。ごめんね。愛菜に無理やり番号聞いたんだ…」

『………。』

「昨日…ごめん」

電話はやっぱり恭平だった。
アズは、まだ怒っていた。あんな不意討ちは許せなかった。

『ダメです。許しません』

「…うん。当然だよ…な。俺…調子に乗ってたし」

反省した様子の声に、アズは戸惑った。

「でも…俺だって…」

『………。』

アズは、紅茶を一口飲んだ。

「好きなコと以外…キスなんてしないよ」

『!』

なな…何?どーゆーこと?

アズがテンパっていると、恭平が言った。

「今、暇?暇なら会わない?」

『…え?』

さらにパニくるアズ。

「ごめん…嫌だよね…」

そこで、恭平の落ち込んだ声を聞いたアズは…

『嫌とかじゃ…ないけど』

と言ってしまった。
これで、アズと恭平の形勢逆転。

「本当?じゃ、会おう!今ドコにいる?音楽聞こえるし…どこかの店!?」

『え?あ…家の近くの…ロゼオって喫茶店に…』

「ウソ!?俺の家めっちゃ近いよ」

喫茶店名言ったって絶対わからないと思ってたアズ。これには驚いた。

「じゃ、今から行くよ」

『…え!?あの…っ…』

アズの返事を聞く前に恭平からの電話は切れていた。

な…何で?

アズは、コトの展開の早さについていけなかった。









「いらっしゃいませ」

店員の声がして、入り口の方を見ると…入ってきたのは恭平。

本当に来た…どーしよう。

恭平と目が会うと、アズは挙動不審に。なんとなく隠れてみたり…。




「…1人でいたんだ」

恭平が向かいの席に座ると言った。

『時間つぶしに…』

アズは、気まずさから目を合わせられなかった。

「そっか。よかった…彼氏といなくて」

『…!だから、彼氏なんか…いないですから』

そこで、恭平がテーブルに視線を落とすと、アズの携帯が目に入る。

「…あれ?この携帯って…昨日のと…違くない?」

携帯を手に取る恭平。

『これは私の携帯ですっ』

それを奪い取り、ポケットにしまうアズ。

『昨日のは…人にもらった携帯だから…』

「…え?もらったって男!?普通、彼女でも好意も持ってない女にそこまでしないって」

『え…?』

「それはあり得ない」

恭平の男目線での言葉に、アズはちょっと嬉しくなった。

そうなのかな…

高柴くん…
ちょっとは…私のコト…

イイって思ってくれてるのかな。

嬉しくて思わず笑顔になってしまったアズ。
恭平がクスクス笑った。

「よかった…また笑ってくれて」

『!』

ハッとしたアズは表情を戻した。

「昨日は…ごめん。そんなに相手の男…好きなんだ。嫌だったよね…入る余地ねーなぁ」

恭平は声を出して笑った。
アズも、つられてちょっと笑った。

「俺、とりあえずあきらめる。でも、あきらめたわけじゃないから!」

『………。』

きょとんとするアズ。目が点。

そして、吹き出してから大笑い。

『何ですか…ソレ!?どっちかわかんない…』

「さぁ〜ね〜」

恭平が、笑っていたのでアズは恭平の本心がわからなかったが、嫌いではなくなった。






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