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奪った男
ココロとカラダ




『…彩華、明日…ヒマ?』

「え…?うん…」

番号を交換してから何日目かに冬馬から電話がきた。
明日は日曜日。

『じゃあ、映画付き合って』

「!」

『映画館前の公園に10時な』

「え…ちょ…」

『じゃあ、明日』

返事をする前に決められて戸惑う彩華だったが、よくよく考えると嬉しい。

冬馬とデートだ。
着る服を一生懸命考えた。




髪型も服もメイクも一晩考えた。
その結果、10時ぎりぎりになった。

公園で冬馬を探すと、すぐに見つかった。
私服は初めて見たが、冬馬は相変わらずかっこいい。

「冬馬…」

話しかけるのも迷うほど、冬馬はかっこよかった。

「彩華」

冬馬が笑うと、彩華はドキドキした。

「私服、かわいいな」

「あ…ありがとう」

素直にホメられて更にドキドキした。
冬馬は、映画館へと歩く。

「行こう」

「うん…」


冬馬と少し離れて歩くと、冬馬にツッコまれた。

「何で離れんの?」

「え…だって…」

彩華はうつむいた。

「本命の人に見られたら…マズいでしょ?」

「!」

「離れてれば…知らないフリも…」

できると言おうとしたが、冬馬はそれより前に彩華の手をつかみ、グイグイ歩く。

「と…冬馬!?」

「………。」

冬馬は黙ったまま、映画館へ。






「…冬馬、チケット代」

彩華が出そうとすると、冬馬が止めた。

「いい…おごり」

「でも…」

ふと彩華が、冬馬と手が重なっているのに気づき、赤くなっていると、照明が落ちた。


冬馬が選んでいたのは、邦画の超大作。
そのまま、ずっと手をつながれた彩華は、そっちが気になって映画に集中できなかった。




「…さて、なんか食べる?」

映画館を出ると、冬馬が言った。
手をつながれたままで、彩華は恥ずかしかった。

「うん…」

「彩華、嫌いなものは?」

「…生モノ」

「そっか…よし」

冬馬に手を引かれるままに歩き、カフェに入る。
なんか、本格的にデートっぽくて戸惑う彩華。






2人でパスタを食べると、冬馬が最後に言った。

「…ウチ来る?」

「!」

冬馬の家に行くなんて、考えたこともなかった彩華は戸惑った。

「…でも…」

「姉ちゃんいるかもだけど…他はいないし」

「………。」

彩華は迷った。
行ったら…することは決まってる。








「…どうぞ」

わかっているのに来てしまった彩華。
冬馬のお姉さんはちょうど出ていくところだった。

「何〜?また女連れ込んで…」

「!」

またの言葉に彩華は反応した。
きっと今までも何人も…と思うと、心が痛い。

「俺がいつ女連れ込んだんだよ」

冬馬も言い返すが、受け流すようにお姉さんが出ていく。

「いつもでしょ?じゃあ、行ってくる。帰らないから」

出ていくお姉さんに頭を下げると、

「コイツ弟だけどさ、軽いから…気をつけなよ」

お姉さんが彩華に言った。
冬馬が怒り、

「いいから行けよ!」

お姉さんを追い出して、玄関を閉めた。


「…間に受けんなよ」

冬馬はそう言って、グイグイと部屋に彩華を連れていく。
お姉さんと話す冬馬が子どもに見えた。意外な一面。



「テレビでも見てて。何か飲み物持ってくる」

「うん…」

冬馬の部屋は、黒や白や茶色のものが多くシンプルだが片付いている。

本棚には色々な本。
読めないような英語の本まであった。
もちろんHな本も。彩華は見なかったことにして本棚に戻した。




「…何してんの?」

冬馬が戻ってくる頃、彩華はベットに乗り、窓から外を見ていた。

「川が見える」

「…近いからな」

「でも、夕日が反射してきれいだよ」

そう言ってまた外を見ると、冬馬が隣に来た。

「そーいえば…川も夕日も子どもの頃は見てたのにな」

「へぇ…」

急に近づいてきたので、彩華は少し緊張した。

でも、冬馬が昔見ていた風景を今一緒に見れるのが嬉しい。
見とれていると、冬馬がこっちを見て目が合う。

「彩華…抱いていい?」

「!」

聞かれたことがないことを聞かれて、彩華は顔が熱い。

「…わかんない」

「!」

「そんなの聞かれてもわかんないよ…」

見つめられるのが恥ずかしくて目をそらすと、冬馬が押し倒してきた。

「…彩華、俺が好きだろ?」

「!」

「言ってみろよ」

冬馬の言う通りだが、彩華は首を横に振った。

「違う…もん」

すると、冬馬が彩華のパンツを脱がせていきなり突っ込む。

「嫌ぁ…っ、冬馬!」

全然濡れてなくて、少し痛い。

「嫌…?それにしては締め付けキツいし、ヒクヒクしてるけど?」

「違…ビックリしてる…だけだもん…」

彩華が小さく震えながら、感じないようにしていると、

「ひゃん!冬馬っ」

乳首をやらしいくらい舐めまわす。



「あぁ…っ」

感じてしまい、頭がボーッとする彩華を容赦なく突き上げる冬馬。

「…彩華の中、熱い…」

「やぁっ…あぁっ、あぁぁん」

頭の中が真っ白で何も考えられなくなる彩華。
すると、イキそうなところで冬馬が抜く。

「あっ…何で…?」

思わず言ってしまうと、冬馬がクスクス笑った。
恥ずかしくて、彩華の顔は真っ赤だ。

「中出しはマズいでしょ。それに…彩華またがって」

コンドームを着けた冬馬に、言われるがまままたがると、冬馬との距離が近い。

「…自分で入れて…動いて」

「え!?無理だよ」

彩華が耳まで赤くなる。

「大丈夫だって…」

「でも…」

すると、冬馬が彩華を抱きしめた。

「彩華が…欲しい」

「!」

そんなこと言われると、勘違いしてしまう。

「…っ…ずるい…」

そう言って、彩華は下の口で冬馬のモノをくわえこむ。

「ん…あ…ぁっ」

冬馬との距離が近すぎて、彩華は思わずしがみつく。

「冬馬ぁ…っ…あんっ、冬馬ぁっ」

何度も名前を呼ぶと、冬馬も抱きしめてくれた。

「彩華っ…」








2人で果てるまで抱き合う。
すると、いつもと違って冬馬が横に寝た。

「…!」

彩華はビックリして思わず少し離れた。

「彩華と俺、なかなかの相性じゃない?」

「わ…わかんないってば…そんなの」

テレて焦ると、冬馬がクスクス笑った。
すると、冬馬の携帯が鳴る。
冬馬が携帯を取りに行くと、彩華はドキドキを治めようと必死になった。

「…はい。何?」

『冬〜馬く〜んっ!』

離れた彩華にも声が聞こえた。誰かはわからないが女の子だ。

「うるさいって。若菜…」

「!」

彩華は、冬馬の口から別の女の子の名前が出るのと、心がズキッとした。

「…今日は無理。疲れた」

冬馬がモテて、自分は彼女ではなく、ただ冬馬が好きだから冬馬に遊ばれてるんだと自覚した彩華。

どんなに求められても求めても、それは心じゃなく、一瞬の関係なんだ…と思うと少しさみしい。

彩華は、冬馬と若菜という女の子が話している間に服を着た。

今、抱かれた後に一瞬でも幸せを感じそうになったのを後悔した。
まるで、彼女のように思えたことも。



「じゃあ、またな」

冬馬は5分くらいで電話を切った。
振り返ると、彩華が服を着ていて少し驚く冬馬。

「…帰るね。もう私、必要ないでしょ?」

「え?」

「…始めから…連れ込めばよかったのに。Hしたかっただけでしょ?」

彩華は泣きそうになるのを必死にこらえた。

「冬馬は女に困らないから…でも…」

うつむいて我慢しようとしたが、涙が落ちた。

「嬉しかったよ…私を選んでくれて」

嘘だった。
本当は、冬馬の一番になれないなんてわかっているのが嫌でたまらない。

「でも…私…遊びでこれ以上冬馬に抱かれたくない」

「!」

「ごめんね…」

冬馬の部屋を飛び出して帰ろうとしたが、

「彩華!」

冬馬が追いかけてきて、玄関でつかまる。

「嫌…!放して!」

「…ふざけんなよ!」

冬馬が彩華を壁にたたきつけた。

「いい加減…」

冬馬が壁をたたく。声がかすかに震えていた。

「俺が好きだって…言えよ」

「…え?」

「認めろよ…じゃないと…何のために…無理やり抱いたと思ってんだ」

「?」

彩華は頭が混乱したが、そこで玄関のインターホンが鳴って、冬馬の気が一瞬それたので、逃げた。
宅配便のようだったが、彩華は素通りして走った。



「………。」

いくら考えても、冬馬が自分を抱いた理由がまったくわからない彩華。

でも、徐々に冬馬なしの生活が考えられなくなってきていた。



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