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狼と忠犬
暁さまより「狼と忠犬でなにか」=久豆見会長のありふれた一日(2888888キリリク)
※時間軸無視です


「…お前、もう今日はいいから帰ってくれ。」


 こともあろうに生徒会長である俺にそんな口を聞いたのは、斜め向かいで書類と格闘していた副会長だった。

「――なんや?そんなに俺に消えて貰って何しようとしてんねん、このムッツリ助平腹黒王子もどきが。」
「…わかったから大人しく帰れ。」

 眼鏡のフレームに隠れきれない眉毛がピクピク痙攣している。ホンマにこいつは腹芸が出来ん奴や。性格は悪いのに。


「あー…ハイハイ、ほんじゃあ、キレてる副会長が言うんやから、俺は帰るわな〜。」
「――それを言わせる為に、さっきから百舌と聖の頭に節分の豆ぶつけまくっていたんだろうが。」

 バレたか。
 折角の豆撒きイベント日に生徒会室で缶詰とか、ほんま勘弁して欲しいわ。

 眼鏡の機嫌が変わらないうちに、俺はさっさと部屋を後にした。
 当然、ぶつけていた大量の豆は持って出たに決まっている。





「……しっかし、なんでこんな日に限って誰にも会わへんねん。」

 人気のない廊下を一人、豆の入った袋をぶらぶらさせながら歩く俺。
 生徒会室のある特別校舎に人気が少ないのは仕方がないとしても、文化部やら特別教室のある第2校舎にまで人がいないとか…有り得へん。

 手持無沙汰過ぎて、ついつい豆を口に入れてしまう。

 標的どもに連打する前に食い終わったら、どうしてくれるんだ。そうなってしまったらもうその辺の石でも投げるしかないな。おお、そっちの方がオモロないか?

「豆と見せかけて小石連打…これはイケる…。」

 ナイス俺、これこそが正しい節分のあり方だろう。
よし、そうと決まれば早速外へ出て犬共に石を集めさせるか!



 意気揚々と校舎を出る為に階段へ足を向けた瞬間、真横の便所から生徒が姿を現した。

 ゴツイ体型からしてどっかの運動部…ネクタイの色が緑と言う事は、3年か。しかもそのゴリ男は、「うわ、しまった!久豆見っ。」と俺を見て真っ青になった。



「……しまった?」
「あ、え…いゃ……。」

 気になる言葉を復唱した俺に、ゴリ男の顔色は青から白へ変わった。
 いやいやゴリ男、お前の顔色は今から更に変化するんやで?


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