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狼と忠犬
裸眼鏡さまより「風紀委員会での早苗の独裁っぷり(?)」(1000000キリリク)

「草凪先輩、あの…この奥の部屋って、いったい何なんですか?」


 新生風紀委員が発足するのは毎年1月。各学年に数人ずつ選ばれる訳だが、3年生は実質3カ月だけの任期なので、2年生がそのまま持ち上がる。
そして3年が卒業すると同時に、新1年生が新たに追加されるのだが――彼らが入ってきた時には、風紀としての活動は既に形として出来あがっており、暗黙の了解もその頃には存在している。


 ―――つまり、目の前の1年坊主の言うところの、この風紀室の奥の扉も、ソレな訳だ。


「…知りたいか?」
「あー…はい。」
「―――ふーん…。」
「え?なんか、聞いたらマズイ系ですか?」

 後輩の不安げな様子をあえて無視しつつ、奥の開かずの扉を見つめる。

 風紀室は、各校舎に必ず一つは存在する訳だが―――現風紀委員長、蒲生早苗が好んで使うのは、この特別校舎にある部屋だった。
 そしてこの部屋には、奥にもう一つ扉がある。

 通称、開かずの扉。


「あの向こうな…昔は簡易ベッドとか置いてある、まぁ、言うなればお仕置き部屋だったらしんだわ。」
「お仕置き部屋、ですか?」
「そうそう。あんまりにも反抗的で、更生しないオイタをする生徒を、暴力以外で反省させる訳だな。コレが…。」
「………あ、」

 簡易ベッド、と聞いた後輩がハッとしたように赤くなった顔を青くかえる。
 そうそう、想像ついたみたいだな、1年生。


「――まぁ、ソレを、1年で副委員長に抜擢されて入ってきた蒲生現委員長が『スマートなやり方でも無いし、下手すれば足を引っ張られますね』とかなんとか言って、その日のうちにベッド関係を撤去させたんだ。」

 原則的に、違反生徒に直接的指導で刑罰や反省を促せるのは、委員長副委員長のみ。後は、現行犯や突発的に必要な時以外は、極力暴力的な行動は極力避けるよう指示が出ている。
 ただ言いかえれば……上位2人は、自由に指導できる立場でもあるのだ。

「それ以降は、奥の部屋を使って指導するのは、副委員長の仕事になって……今は、副がいない状態だから、そのまま委員長が継続して1人で使ってる感じだな。」
「へー…。委員長、過去の悪習を断ち切ったってコトですかね?」


 凄い凄い、と目を輝かせる1年坊主に…俺は曖昧な返事しか出来なかった。



「――あ、でも、そしたらどうして『開かずの扉』なんですか?」


 不思議そうに聞いてくるが、まぁ、答えられるハズも無く。
「そのうちわかる。」としか言えなかった。

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